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まず「自助」発言で関心失った1年 介護現場から政治家に望むこと

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聞き手・森本美紀
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 菅義偉首相が、突然の退陣を表明した。コロナ禍のこの1年、感染不安に直面しながら、利用者を支えてきた介護現場からその退陣劇はどう見えたのか、実情に詳しい「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」の小竹(おだけ)雅子さんに、印象的な首相の言葉とともに振り返ってもらった。

小竹雅子さん 1956年生まれ、北海道出身。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」の活動などを経て2003年、介護を市民の視点で考える団体「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」を設立。介護保険を中心に電話相談やセミナーの企画、国への要望活動などに取り組む。著書に「総介護社会ーー介護保険から問い直す」など。

「ああ、そうですか」

 〈目指す社会像は自助、共助、公助、そして絆だ〉(昨年9月の首相就任会見)

 首相の退陣を聞いて、「ああ、そうですか」というのが率直な感想です。就任会見やその後の所信表明で、「自助」を最初に挙げるこの言葉を聞いて以来、政権への関心を失っていました。

 言うまでもなく、孤立や孤独に直面している高齢者や障害者、生活困窮者など弱い立場の人たちは、自分で何とかしようとしてもできないから、支援を必要としています。

 「絆」は、給付費を抑制するために安上がりに住民団体やNPOを活用しようとしているように聞こえます。介護分野でいえば、介護保険制度ができる前から、配食サービスなど地域の支え合いはありましたが、善意だけでは支えきれないから、公的な保険制度ができた。政治家に考えてほしいのは、介護保険生活保護といった共助、公助です。国民の最大の関心事である社会保障についての国のトップの認識に怒りを覚えました。

ワクチン優先接種、要件に驚き

 その後の新型コロナ対策でも、PCR検査の徹底やワクチンの優先接種は、医療だけでなく、介護・障害福祉・保育など、社会保障関連の従事者すべてに保証し、安全に働いてもらう配慮が必要ですが、後手に回っています。特に介護現場は対策から取り残され、施設でのクラスターも広がりました。

 さらに、厚生労働省が今年3…

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