広島や長崎の市民団体など22の団体と個人44人は7日、日本の8政党の代表者に宛てて、米バイデン政権が検討しているとされる核の先制不使用宣言に反対しないよう求める公開書簡を送った。
バイデン政権は来年策定する「核態勢の見直し(NPR)」で、「米国は先には核兵器を使わない」「米国の核兵器の唯一の目的は、核攻撃を抑止し、必要とあれば報復すること」とする宣言を検討中と報じられている。公開書簡は「日本の反対のためにこの宣言が断念されることになれば、国民の多くは驚き、怒るだろう」としている。
書簡を呼びかけたのは、「核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会」(朝長万左男委員長)▽「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(森滝春子共同代表)▽NPO法人「原子力資料情報室」など5団体と、NPO法人「ピースデポ」の梅林宏道・特別顧問や鈴木達治郎・長崎大教授ら5人。これに17団体・39人が賛同署名している。
核の先制不使用宣言をめぐっては、バイデン政権発足後の今年4月に加藤勝信官房長官や茂木敏充外相が反対の立場を示したことを受けて、長崎原爆の日の8月9日、米国科学者連盟やウィリアム・ペリー元国防長官ら米国の26の団体・個人が、懸念を示す公開書簡を日本の各政党の代表者に送った。「核攻撃を受けた唯一の国で核廃絶を唱えてきた日本が、この小さくても重要な一歩を阻止することになれば悲劇的だ」と指摘しており、今回の日本側の公開書簡はこれに呼応した。
「核兵器なき世界」を唱えた…