絶滅の瀬に立つ「忘れ貝」に新種 コロナ禍に標本集め文献見返し発見

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杉浦奈実
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 「忘れ貝」という切ない名前の二枚貝がある。岡山大学などのチームは各地の博物館の標本を使ってこの名を冠したワスレガイ属の詳しい分類を整理。学名がついたことのない新種があると明らかにした。すでに生息地の環境悪化で数を減らしており、絶滅の危機にあることも分かった。

 新種として記載されたのは「ベニワスレ」。殻の幅は2センチ程度だ。

 岡山大学の福田宏准教授は、岡山県内でのレッドデータブック更新のためにこの貝について調べていて、違和感を持った。従来、インド~パキスタン産、または豪州産の二枚貝と同じとされてきたが、殻の形が違うように思えたのだ。他のワスレガイ属の二枚貝も文献によって、示された写真と種名が一致しないことが多かった。

 全国の博物館など16施設に所蔵している標本や、その写真を送ってほしいと頼み、それぞれの殻の各部の長さを測定。種名に関わる17世紀以降の文献約380作をインターネットなどで見返した。コロナ禍で、登校を控えるよう大学から通知があったこともあり、福田さんは自宅でノギスを握ったという。

 最終的に、日本周辺には化石2種を含む8種が存在すると判明。ベニワスレは一度も学名がつけられていなかったこともわかった。新種記載するにあたり、属名の後につける種小名には「beni」(紅)をあてた。

 ベニワスレは、過去に記録の…

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