タリバン、もたついた政権樹立 反タリバン懐柔や人事調整に難航か

有料記事アフガニスタン情勢

バンコク=乗京真知 モスクワ=喜田尚 北京=冨名腰隆
[PR]

 アフガニスタンで権力を掌握したイスラム主義勢力タリバンが7日、暫定政権を担う新閣僚のメンバーを明らかにした。ガニ政権を崩壊させてから3週間以上たってからの発表となった。反タリバン勢力の懐柔が難航したり、閣僚ポストをめぐる人事の調整に手間取ったりしたことが、この日までずれ込んだ要因とみられる。

 7日に会見したタリバン報道担当のムジャヒド幹部によると、暫定政権では最高指導者のアクンザダ幹部を頂点に、側近らが主要閣僚のポストを固める。残りのポストも決まり次第、発表するという。

 タリバンは8月15日に権力を握り、新体制の陣容固めに入った。タリバンの渉外担当のムタキ幹部が翌16日、カルザイ元大統領ら国内の有力者と首都カブールで会談した。17日にはムジャヒド幹部が会見を開き、各派と権力を分け合う「包括的な政権」を目指すと表明。権力の独占を警戒する国際社会に、融和姿勢をアピールした。

 一方でタリバンは、国内34州のうち唯一制圧できていなかった北東部パンジシール州の掌握を急いだ。同州ではタリバンの宿敵だった北部同盟の故マスード司令官の息子が率いる反タリバン勢力と、政府軍兵士ら数千人が合流し、タリバンへの抵抗が続いていた。

 タリバンは反タリバン勢力に政治参加を呼びかけたが拒まれたため、8月31日から一斉攻撃を仕掛け、9月6日に州都を占拠して「制圧」を宣言。ムジャヒド幹部は同日の会見で「一つの領土に二つの国が併存する事態を許すわけにはいかなかった」と説明した。

 国民に融和を語りながら、意に沿わない勢力を力ずくで排除する背景には、暫定政権発足前に抵抗の火種を潰しておきたい思惑があったようだ。

 タリバン内には派閥があり、限られたポストを分け合うのは容易でない。地元メディアによると、4日にはタリバン人脈を持つパキスタン軍情報機関のトップがカブール入り。人事をめぐりパキスタンの意向を伝えていたとみられる。

 各国から政府承認を取り付け…

この記事は有料記事です。残り500文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません