野外音楽フェス、山口は中止 知事は主催者に「英断をいただき感謝」

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前田健汰、伊藤宏樹
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 山口市で18~20日に開催予定だった大規模野外音楽イベント「WILD BUNCH FEST(ワイルドバンチフェス).2021」について、主催者の夢番地(岡山市)は7日、中止を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1日の定員を例年の半分の2万人にするといった対策をとっていたが、山口県が感染状況の判断を「ステージ4(感染爆発)」に据え置いていることや、県から開催の自粛要請を受けたことを踏まえた形だ。

 このイベントは2013年から、県が所有する山口市阿知須の山口きらら博記念公園で開かれ、中止は昨年に続いて2年連続になった。今年は人気バンド「ナンバーガール」や「サンボマスター」、ヒップホップグループ「ライムスター」など3日間で48組が出演する予定だった。

 主催者は観客が密集するステージ前の入場を事前抽選制にし、酒類の販売や持ち込み、公園内でのキャンプを禁止するなど例年にはない対策を準備した。その後、感染が拡大する地域からの来場に慎重な判断を求め、入場券の払い戻しにも応じるとも発表していた。

 山口市役所には「中止した方がいい」「いまの開催は気になる」といった電子メールが十数件届き、市は「主催や後援ではない」として県に伝えた。渡辺純忠市長は8月の記者会見で「いろんな地域から人が入るので、イベントを控えてほしいという地元の声を県に届けた」と話していた。

 県には8月末、医療現場への影響を懸念する県医師会からも中止を求める申し入れがあった。その後県は、県幹部が主催者を訪ねて開催の自粛を要請した。村岡嗣政知事は主催者の中止決定を受け、報道陣に「英断をいただき心から感謝申し上げたい」と話した。

 会場がある阿知須地区では不安の声が上がっていた。近くに住む浅川真智子さん(74)は「中止でよかった。何か起きたときに誰かが助けてくれるわけでもない」。公園近くでジョギングをしていた会社員の男性(42)は「県外から人が来る以上、どんなに対策をしてもリスクは残る」と話した。

「せっかくの3連休…」旅館業界、1千室予約も

 山口市の湯田温泉旅館協同組合によると、湯田温泉にある宿泊施設は17~20日は全15施設の計約1千室がイベントの観客らの予約で埋まっていた。全館満室になるのは前回開催の2019年8月以来だ。

 組合の吉本康治事務局長は「本当はやってほしかったが、もう少し早く結論を出してほしかった。せっかくの3連休なので影響は大きい」と話した。「宿では体温チェックなどの対策もとっている。県にはせめてプレミアム宿泊券の利用を再開してもらいたいが、空いた部屋をこれからどれだけ埋められるのか」と落胆した。

 県が県観光連盟を通じて発行したプレミアム宿泊券の利用を8月21日から止めたことも影響し、湯田温泉にある宿泊施設のなかには休業している宿もあるが、イベント期間中は開館予定だった施設もあった。(前田健汰、伊藤宏樹)

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