ゆらめく錦は恋の色 伊豆の海、アカオビハナダイの「婚活」

岡田和彦
【動画】錦の婚姻色まとうアカオビハナダイの求愛=岡田和彦、写真家・堀口和重氏撮影
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 海水温が上がった夏、西伊豆のダイビングスポット静岡県沼津市井田では、アカオビハナダイが繁殖行動を繰り広げていた。オスはこの時期特有の「婚姻色」をまとい、美しい姿でメスに求愛する。

 8月初旬の朝、地元ガイドの出竈(でかま)祐亮さん(30)の案内で、写真家の堀口和重さん(35)と井田の海に潜った。水深25メートル。水温は28度。魚影の濃いエリアだが、ひときわ鮮やかな色が目に飛び込んでくる。アカオビハナダイのオスだ。桃色の頭部に白い腹。胴には名前のとおり赤い帯を巻き、ヒレにも赤い筋が走る。尾に向けて黄色く染まった姿は動く宝石、ニシキゴイを思わせる。体長は12センチほど。

 普段でも赤の濃淡が美しい魚だが、繁殖期を迎えるとメスの目をひくため、婚姻色に変わる。近くには体長7センチほど、やや小ぶりで赤系単色のメスが群れている。活発に泳ぎ回るオスはメスの前でヒレを広げ、体を震わせて舞い、狙ったメスにアタックする。逃げられることが多いが、受け入れられると寄り添い、オスがメスに巻き付くように抱きかかえ、上昇しながら産卵する。別のオスが割り込み、追い払おうと争いになることもある。

 出竈さんによると、アカオビハナダイの繁殖は6月末から10月にかけて見られるが、8月が最も盛んで、朝方に美しいオスのダンスを見ることができるという。(岡田和彦)