台風で停電、分娩室を照らした一つのライト 母は公務員勉強を始めた

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藤谷和広
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 暴風雨と大規模停電で千葉県内に大きな被害をもたらした、2019年の台風15号から9日で2年となる。館山市では、暗闇の中でも周囲に守られ、新たな命が誕生した。(藤谷和広)

 台風15号による停電が続く中で生まれた鈴木海里(かいり)くんは10日、2歳の誕生日を迎える。お兄ちゃんとおそろいの服を着て、自宅の部屋を元気に走り回る。

 母の里穂さん(28)は19年9月8日、千葉県館山市の産婦人科医院を訪れた。破水していたことがわかり、そのまま入院。閉めた窓から漏れた雨でベッドはぬれ、猛烈な風の音と暑さで眠れなかった。

 9日未明には停電が発生し、胎児の様子を見るエコーや、陣痛の間隔を計る装置も使えなくなった。「自分で胎動を感じて」。医師にそう告げられ、不安を抱えながらも耐えて授かった命。それが海里くんだ。

 父の悠紀さん(32)は、健やかに育つ海里くんを見守りながら、「やんちゃになってきた」と笑う。食いしん坊で、兄の悠仁(しゅうと)くん(4)が食べているものを横取りしたり、おもちゃの取り合いでけんかしたりすることもあるが、よく2人で遊んでいるという。寝るときは大好きなポケモンのぬいぐるみを離さない。

 2年前のあの日、分娩(ぶん…

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