ダウン症児の子育て、一番の「モンスター」は 奥山佳恵さんの10年

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聞き手・田渕紫織
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 妊婦の血液から赤ちゃんのダウン症などの確率を推定する「新型出生前診断」。超音波検査よりも精度が高く、羊水検査よりもリスクが低く、採血だけで受けることができます。検査が受けられる医療機関について、一定の基準を満たせば、国も関わって認定する仕組みも議論されています。一方で、検査が一般化することには懸念の声があります。ダウン症の次男・美良生(みらい)君(9)を育てている、俳優でタレントの奥山佳恵さんに聞きました。

 私が次男を妊娠した当時、まだ新型出生前診断はありませんでした。超音波(エコー)検査で赤ちゃんの顔まで立体的に映し出す4Dの検査は、4千円かかると言われました。

 4千円あれば近所のスシローで家族3人でおなかいっぱい食べられます。4Dかスシローか……。家族で悩んだ結果、スシローを選びました。

 あのとき、スシローにしておいて本当によかったと今も思っています。もし4Dを選択してたら、ダウン症児の特徴があることが事前にわかったかもしれません。

 夫とも想像で話すことがありますが、自分の意思で生まれてこようとしている赤ちゃんの命を、もし私たちの判断で絶ってしまっていたとしたら、ダウン症の子を街やテレビで見かけるたびに、自分を責めてしまいそうです。それに、生まれてくるまでの間、ものすごく不安な毎日を過ごさなくてはいけませんでした。

「ダウン症」夜な夜な検索する日々

 出産後に訪れた病院の診察室で、検査結果の紙に「ダウン症候群」という文字が見えた時は、頭が真っ白になりました。

 血の気が引いて、どうやって部屋を出たかも覚えていません。夫とふたりで、ただただ無言。車に乗り込むと、取り乱してはいけないと思ってこらえていた涙があふれて、腕の中にいる美良生の顔に、涙がぽたぽたと落ちました。

 目の前の子はとてもかわいくて、少し離れるのもつらいのに、この子がダウン症という個性をもっていることを受け入れられない。

 不安で、夜な夜なパソコンと向き合って「ダウン症」と検索しては、楽しそうなことは何も書かれていないように思えて、思い詰め、負のループの日々でした。

記事後半では、美良生君との10年間とともに、出生前検査についての考えも語ってもらいました

 母には生後2カ月すぎまで美良生にダウン症があると言えませんでしたが、ようやく告げたときの一言で吹っ切れました。

 美良生はダウン症だったんだ…

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    太田泉生
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=人権)
    2022年4月21日0時43分 投稿
    【視点】

    デジタル記事掲載から半年以上経ったきのう(2022年4月20日)になって、アクセスランキングトップになるほどこの記事が読まれました。奥山佳恵さんのすばらしいメッセージがこもった記事で、掲載から少し時間が経っても再び多くの人に読んでいただける

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    山下剛
    (朝日新聞横浜総局次長=医療的ケア児)
    2021年9月13日10時35分 投稿
    【視点】

    出生前検査のみならず、障害のある子どもの子育て、共生社会のあり方まで考えさせられるインタビューです。周産期医療に携わる関係者だけでなく、多くの人に読んでほしい。 私も障害がある長男が産まれる前のことを、思い出しながら読みました。

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