「感動ポルノと違った」出場逃したアスリートは東京パラをどう見たか

聞き手・松本龍三郎
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 スポーツの奥深さを見る者に感じさせてくれた東京パラリンピック。その舞台にわずか「1センチ」の差でたどり着けなかった選手がいる。2016年リオデジャネイロ大会の陸上男子400メートルリレー銅メダリストで、前回12位に終わった走り幅跳び(上肢障害T47)への出場を目指した芦田創(はじむ)(27)。彼の目に東京大会はどう映ったのか。閉幕の日、記者が話を聞いた。

あと「1センチ」で逃した出場

 ――代表選考期間に残した記録は6メートル87。内定の条件となる期間中の世界ランキング6位まで、1センチ足りませんでした。

 「パラリンピックに選手として出られなかったことが、やっぱり、めちゃくちゃ悔しくて……。これは一生、悔いとして残るんだろうなと思います」

 ――自分がいない大会を、どんな気持ちで見ていましたか。

 「意外と、客観的に見ることができた。純粋に競技として『面白いな』と思う部分だったり、種目によっては『まだまだ、これからレベルが上がっていくんだろうな』という部分だったり、すごく考えさせられながら向き合ったパラリンピックでした」

 ――これまでの大会との違いを感じましたか。

 「パラアスリートを障害者としてではなく、よりアスリートとして評価する時代になってきたんだなと感じました。メディアの報じ方に、その傾向が表れていた。きっとメディアの方々も、議論を重ね、勉強を重ね、どう報道するか、すごく考えてこられたのでしょう」

感動ポルノ」とは違う報道

 ――パラアスリートとして、その変化をどう思いますか。

 「純粋なスポーツ報道になっていて、感動を誘う題材として障害者を描く『感動ポルノ』とは全く違った。それはすごいことだなと。パラアスリートがアスリートとして評価されることで、本当の意味で社会って良くなっていくというのが私の意見です」

 ――競技レベルの高まりが続くパラスポーツには、どんな未来が待っているでしょうか。

 「もっとハイパフォーマンスが生まれるスポーツになるためには、ある種のヤジやバッシングが飛ぶくらいでないと。例えば『この障害だったら、もっとやれるんじゃないの?』といった観客の声が出始めたら、本当の意味でスポーツとして確立されるというのが私の感覚。何大会か後のパラリンピックには、そんな世界観が現れると思っています」

 ――出場を目指した走り幅跳び(上肢障害T47)も、メダルラインは5年前から23センチ伸び、7メートル34になりました。

 「正直なところ、出ていても勝負にならなかった。8番(記録は6メートル89)以内には入れたとしても、メダルを狙うには厳しかった。それくらいレベルが上がっています。これから3年後のパリ大会を目指す上で、相当な覚悟を持ってトレーニングに励まないと。競技全体のレベルアップに貢献できる選手になれるよう、頑張るつもりです」(聞き手・松本龍三郎)