「今も後遺症」「災害のような備えを」 コロナ感染の経験記者座談会

新型コロナウイルス

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 新型コロナウイルスに感染したことを、朝日新聞記者として公表して記事やツイッターなどで発信した3人が、闘病経験や家庭内感染、後遺症について振り返る座談会を開きました。参加したのは、今村優莉(39)、千葉雄高(42)、中小路徹(53)です。

座談会の様子を、ポッドキャストで聞いていただけます。

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 中小路 この中では私が一番最近ですね。7月25日昼に発熱し、夜に38・8度まで上がり、「これはやばい」と近所の発熱外来でPCR検査を受け、デルタ株陽性でした。幸い、発症5日目に宿泊療養に入れましたが、実はそれ以降がきつくて。発熱は収まった一方で、内臓をウイルスがはい回るような倦怠(けんたい)感と頭痛、せき込みが9日目まで続きました。1週間たった頃に山場がくる感じですね。11日目に退所しました。

 千葉 私は昨年12月に感染しました。第3波のまっただ中で従来株だと思います。私も6日目に宿泊療養に入ったのですが、熱もせきもなくなり、「もういいんじゃない?」と思っていました。ところが、施設に入った日の夜から急にせきが出始め、だるさを通り越して体がこわばって痛い、という感覚になりました。

 今村 1週間弱が経った頃に症状が変わるのが、お二人の共通点ですね。私の発症は昨年3月で、熱もせきもなかったのですが、やはり6日目くらいに急に全身が痛くなりました。最初に気づいたのは味覚の異常でした。コーヒーの味が薄いな、と。その後に消毒液のにおいが分からず、背筋が凍ったことを、昨日のことのように思い出します。

 千葉 私も味覚・嗅覚(きゅうかく)は見事になくなりました。発症3日目でした。朝食の紅茶の匂いがしなくて、「あれっ」と。昼食に冷凍のほうとうを食べたら味がしなくて、「ああ、これかあ」と。味覚は7、8日目に戻りました。最初は、みそ汁を飲んだらしょっぱさを感じました。そこから徐々に戻った感じで、嗅覚も発症10日目に戻りました。

 今村 私は味覚は3週間で治りましたが、嗅覚は2カ月たっても、小さい子どものウンチのにおいがわかりませんでした。1年半たったいまも、実は完治はしていないんです。本来と異なるにおいがする「異嗅症」という後遺症もあって、卵焼きや生のタマネギが焦げ臭いと感じてしまうんです。

 中小路 家庭内感染を防ぐのが難しいですね。私は子ども部屋を占拠する形で自宅隔離を始め、東京都が公表している隔離のポイントを実行したつもりでした。トイレに行くときはゴム手袋をし、入浴は最後。自分が触ったところは消毒し、食事も使い捨ての容器に盛ってドアの付近に置いてもらい、ゴミは密封しました。ですが、結果的に妻が陽性になりました。

 千葉 私も妻に感染させてしまい、当時3歳の息子をどこで誰がみるか、がハードルになりました。高齢の親なども、うつしてしまうリスクがあり、預ける選択肢はなかった。息がかからないように子どもと互い違いになって添い寝したりとか。結果的に妻と子どもが母子で入院できる病院に入り、私は宿泊療養になったのですが、妻は子どもを抱っこしてあげることもできず、悲鳴のようなラインが来て、本当に苦しかった。

 中小路 家庭内感染は防ぐ方が難しいという観点で、災害に向けた準備と似た意識をもっておいた方がいいと思いました。妻が自宅療養だったので自治体から非常食が送られることになっていたのですが、既に感染爆発が始まっていて、届いたのは自分が宿泊施設から戻った日。今も、なかなか届かない家庭があると思います。防災用の非常食を多めに買っておくとか、買い物を頼める人と事前に話し合っておくとかは、有効かもしれません。

 今村 我が家は当時、子どもが1歳と3歳だったんですけど、私が隔離するためにこもっていた部屋の前で2人が泣き叫ぶ阿鼻叫喚(あびきょうかん)でした。それでも絶対に家族と触れないようにし、夫が子どもの世話から私の食事の用意までやってくれました。私は「ママが感染した時にパパが感染しない秘訣(ひけつ)は、日頃からパパが育児と家事をどれだけやっているかにかかっている」とよくママ友に言っています。ところで宿泊療養はどんな日々だったのでしょうか。

 中小路 心強かったのは、経過観察してくれる看護師さんたちの存在でした。朝夕に自分で体温と血中酸素飽和度を計って入力したのをみて、電話を定期的にかけてくれるだけでなく、聞きたいことがあると答えてくれる体制でした。「体温が37.4度以下、酸素飽和度が95以上あれば大丈夫」といった目安を教えてくれたほか、発症8日目に急に頻尿になった時には「体がウイルスを排出している良い兆候」と、安心を与えてくれました。

 千葉 私は宿泊療養に入る時、家族がバラバラになるので迷いがあったのですが、「自宅療養だと急変した時の病院の手配が難しい」と言われました。今は多くの方々が自宅療養の状況。自宅療養でも、オンラインや電話で見守り、調整できるシステムがあればいいなと思います。

 中小路 自宅療養の方々からは救急車を呼ぶことも遠慮してしまう空気が、ツイッターを通じて伝わってきます。私が看護師さんから聞けたアドバイスに触れることもできず、苦しんでいる。ツイッター「#コロナ闘病中のみんなで話そう」で発信したのは、この状態がいつまで続くのか、これからどんな症状が出るのか、感染者や家族の不安に対して、少しでも体験が役に立てれば、という思いがありました。

 今村 昨年6月、私は感染体験記を実名で記事にしました。情報の必要性と、感染が悪いことと思われることへの反発心もありました。結果、SNSや会社宛てに「役に立った」「よく書いた」という読者からの反響をたくさん頂きました。発信することが難しい人もたくさんいると思います。それでも、感染した人が自分の体験を伝えることで、「感染は絶対に隠し通さなければ」という見方だけは減ってほしいと思っています。

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