「書き上手」は「捨て上手」 天声人語元筆者が自問していたこと

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 女性投稿欄「ひととき」は来月、誕生から70年を迎えます。約500字に思いを込める書き方とは。やはり限られた字数でコラムをつづってきた天声人語の元筆者・福島申二が、体験を踏まえながら解きほぐします。

10月2日に「ひととき」70年記念イベント

ひととき70周年を記念し、10月2日(土)に東京・築地の浜離宮朝日小ホールでイベント「くらしを書く、書いて生きる」を開催します。作家・桐野夏生さん、東京大学大学院情報学環教授・林香里さん、オンライン署名サイト「Change.org Japan」の武村若葉さんが出演。午後2時開演です。詳細、申し込みはこちら。

「大きな言葉」ではなく

 日々のくらしのなかで誰もが何かを思い、何かを感じます。それを言葉で表して人に読んでもらおうとすれば、意志、労力、それに時間が必要になります。

 そもそも書きたいと思ったことがらが、はなから整理整頓されて「さあ書いてください」と待っているなんてことは皆無です。まずはどう書くかから知恵を絞らなくてはなりません。

 そしていざ書き出せば、語彙(ごい)のとぼしさを嘆き、思うように言葉を操れずにいらだち、ため息ばかりついている(私の経験)。おそらくは同様のご苦労をこえて紙面に載る「ひととき」の一編一編には、掌編小説の味わいを感じます。くらしや人生への丁寧なまなざしに、内なる琴線がぽろんと鳴るのです。

 先日、ここ数年の掲載作を続けて読みました。どれも次へ読み移るのに少し間(ま)を要しました。すぐに移るのが惜しいのです。

 集約的な「大きな言葉」では…

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