石木ダム、長崎県が本体工事に着手 反対派住民「茶番劇だ」

安斎耕一、原口晋也
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 長崎県は8日、同県川棚町で進めている石木ダム建設事業の本体工事に着手した。現場周辺では立ち退きを拒む住民が抗議の座り込みを続けており、県は中村法道知事と住民との直接対話に向けて協議をしていたが、不調に終わったとして踏み切った。

 ダムを巡っては、水没予定地の川原(こうばる)地区の13世帯が立ち退きを拒んでいる。県は昨年度、本体工事の予算を計上したものの、着工には至っていなかった。県河川課によると、この日は左岸側の掘削工事と、右岸側の樹木伐採などの作業に手を付けた。同課は「準備が整ったため再開した。安全に配慮しながら工事を進めていく」と話した。この日、反対住民との衝突はなかったという。

 県は今年5月、事態打開のため住民側に中村知事との対話を持ちかけ、書面のやりとりによる協議が続いたこの間は周辺の関連工事のみにとどめていた。一方、住民側は対話の前提として関連工事の即時中断を主張。結局、県の設けた8月末の期限までに折り合えず、中村知事は「これ以上、本体着工を延期するのは難しい」と、9月以降に着手する考えを示していた。

 住民の石丸勇さん(72)は「誠意をもって話し合いをやる気など最初からなかったと思う。一方的に『期限が切れた』と宣伝し、本体着工するなんて茶番劇だ」と怒りをあらわにした。県が今後どんな出方をするか、警戒を強めていく構えだ。(安斎耕一、原口晋也)