シマの「音楽力」存分に発揮 多彩な歌と演奏で奄美市民歌

奥村智司
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 【鹿児島】奄美市の市民歌が市制15周年の節目に完成し、市のホームページ(HP)で公開されている。幅広い層の市民が歌や吹奏楽弦楽器といったさまざまなパートを担って収録に参加しており、奄美の「音楽力」を存分に発揮している。

 市民歌は市教委が事業主体となり、3月20日に制定された。「輝く未来へ」と題した歌詞は、全国公募で寄せられた64点から選ばれた。始まりに「美(うる)わし海よ 香(かぐわ)し森よ」と自然をたたえ、伝統行事の八月踊りや舟こぎ競争を歌い込み、「輝く未来へ 進むまち」と閉じる。

 力を入れたのが曲の音源づくり。半年の練習を経て、市少年少女合唱団らの簡易二声合唱、中学生と大人の奏者が力を合わせた吹奏楽、歌手の中孝介さんらによる歌、三味線(前山真吾さん)やコントラバスなど総勢49人の編成のアンサンブルといった、6バージョンを収録した。

 作曲を手掛けた東京音楽大学の原田敬子准教授が、各バージョンの編成、監修も担当した。奄美群島におけるシマ唄の継承の調査で奄美市を訪れていた原田さんだが、作曲にあたって改めて市内を回って音楽への思いなどを聞いた。

 驚いたのが奄美の「音楽力」の高さだった。創作舞踊を伴ったオリジナル曲に取り組む児童のバンドや、第九を披露する市民オーケストラや合唱団が活動。市井の音楽愛好家や、プロ級の腕前ながら本職を別に持つ演奏家も数多くいた。「人口4万人ほどの市に、幅広いジャンルの音楽文化が裾野広く根付いている」と感じ、その多様な音楽性を伝えられる曲作りを意識したという。

 独唱を担当したシンガー・ソングライターの楠田莉子さん(22)は「森を思わせる透明な曲調」と感じた。コロナ禍で、音楽活動をしていた大阪から出身の奄美市にいったん戻っていた折で、ふるさとのよさを再確認していた。市制15年の今年は、奄美の森の世界自然遺産登録にも重なった。「市民歌に携わって島の緑にあらためて目を向けるようになった。歌を聞いた人にも、地元を見つめ直すきっかけになればうれしい」と話す。

 市民歌は7月11日、あまみエフエムが組んだ1時間半の「お披露目特番」で初公開された。局長でライブハウスを経営する麓憲吾さん(49)は、アンサンブルでパーカッションを演奏した。「曲を下支えするパートを、奄美の音楽文化を牽引(けんいん)してきた麓さんに」と原田さんが依頼した。

 麓さんは「島のウェット感や陰陽を表現してもらった」と市民歌の完成を喜ぶ。同局で朝と昼に連日、放送している。市のHP(https://www.city.amami.lg.jp/kyoisg/shiminnnouta.html別ウインドウで開きます)に各バージョンがアップされ、貸し出し用のCDも公民館に置かれている。(奥村智司)