男だらけの内閣 タリバン暫定政権に各国はどう向き合うのか

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 イスラム主義勢力タリバンアフガニスタン暫定政権の樹立を宣言し、主要閣僚の顔ぶれが明らかにされた。閣僚は全てタリバンの男性で、中には国連の制裁対象となっている人物も。国際社会は、新たな政権にどう向き合うのか。

 アフガン情勢をめぐっては米独主導で20カ国以上が参加した外相会議が8日にオンラインで開催された。暫定政権への対応が焦点となった。

 米国は、自国民の退避に関してタリバンに協力を求めるなか、暫定政権の顔ぶれに懸念を深めている。

 ロイター通信によると、国務省当局者は7日、暫定政権がタリバンのメンバーなどに限られ、女性も含まれていないことを強調。「何人かの経歴を懸念している」と述べた。国連の制裁対象者や米国が国際テロリストに特別指定している人物らの入閣が念頭にある。新政権の承認に関しては、米国は一貫して「今後の行動を見る」としており、バイデン大統領は6日に「まだずっと先の話だ」と強調していた。米国が求めてきた人権を尊重した「包括的」な政府とはかけ離れており、援助再開や承認はさらに厳しくなりそうだ。

 一方、現地にはいまも米国人が約100人に加え、元米軍通訳などのアフガニスタン人協力者らが数万人が取り残されており、国外退避にはタリバンの理解と協力が必要となる。政権の承認を望むタリバンに、米国人らが「人質に取られている」との懸念もある。ブリンケン氏は7日の会見でこうした懸念を否定し、「渡航書類を持つ人は自由に退避させるという約束を守るようタリバンに直接求めている」と強調した。

 欧州連合(EU)も新政権の承認には慎重姿勢を示しつつ、タリバンとの協議が必要だとの立場だ。2、3日のEU外相会議でも方針を確認。EUが調整役となり加盟国が連携して対応するという。治安が回復すれば退避した職員らをカブールに戻す考えだ。テロ組織の拠点とならないことや人権尊重、出国希望者の退避などの要素が満たされれば新政権の承認に動く可能性もあるが、EU高官らは「時期尚早だ」と繰り返している。

 英仏独は自国民や現地協力者らの退避をめぐりタリバン側と接触しているが、ルドリアン仏外相は「政治的交渉ではない」と強調。マース独外相は8日、退避問題もあり、「タリバンとの対話は続ける」とした。一方で、暫定政権はタリバン以外の集団が参加せず、デモ隊やジャーナリストへの暴力行為があるとして、「楽観的な見方ができる兆候ではない」と述べた。

英国も承認には否定的。ラーブ英外相は2日、「我々が意図しているのは、関わりつつ、メッセージを伝えることだ」と話した。

 また、今年の主要20カ国・地域(G20)議長国イタリアのドラギ首相は、アフガニスタン問題を話し合うG20の特別会合の開催を目指している。

 日本政府は発表された暫定政権の顔ぶれについての評価を避けている。吉田朋之外務報道官は8日の会見で「(報道担当の)ムジャヒド氏が内閣は暫定で、国内の他地域の出身者も選ぶ方針と発言している。引き続き注視していきたい」と述べるにとどめた。

 タリバン側を刺激しないようにとの配慮とみられる。外務省幹部は「今後、残された人々の国外退避や人道支援などをめぐり、タリバンとの対話は不可欠。任命された以上、『けしからん』というだけでは前に進まない」と話す。アフガンには日本大使館などの現地スタッフ約500人が残っており、空路での国外退避をめざしているからだ。

 一方で、タリバンの変化を促すため、人道支援には関与する方針。茂木敏充外相は8日の会議で国際機関を通じ、水や食料などの分野への6500万ドル(約71億円)を含め、今年中に総額約2億ドル(約220億円)を支援する方針を表明した。

 一方、中国は8日、アフガニスタンと国境を接するパキスタン、イラン、タジキスタンウズベキスタントルクメニスタンとオンラインの外相会合を開いた。パキスタンなどは米独主導の会議にも参加したが、中国はこの会合を正式な会議体として存続させる考えで、アフガン問題で欧米と距離を取る姿勢を鮮明にしている。

 中国外務省の発表によると…

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