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狂ったシナリオ ワクチン供給の遅れ、新学期の大学を直撃

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上野創 桑原紀彦
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 コロナ禍の収束の見通しが立たないなか、大学の秋学期が始まりつつある。夏休みのうちに学生へのワクチン接種を進めて、秋からは対面授業を増やす――。国や各大学はそんなシナリオを描いていたが、ワクチン供給の遅れや感染力の強いデルタ株の拡大で、授業をオンライン中心にせざるを得ない大学も目立つ。

 「対面授業を増やしていくことは時期尚早」。明治学院大は6日、秋学期(18日開始)についてホームページでそう告知し、10月半ばまで授業をオンライン中心とする方針を示した。

 感染拡大が収まらないことに加え、学生へのワクチン接種の遅れが影響した。当初は7月中に開始予定だったが、国からの供給が滞り、1回目は今月4、5日にずれ込んだ。2回目は10月2、3日の予定だ。

 2年生の男子学生は「対面は対策をしても感染リスクがある。ワクチンも1回目が終わったばかりなので(オンライン中心になって)正直ほっとした」。春から対面授業は受けていない。オンライン授業に当初感じていたストレスも今はなく、通学による時間のロスがないという利点も感じている。「大学の友だちに会いたい気持ちはあるけど、もうこのままでいい」

 法政大は今月3日、秋学期(17日開始)について「10月2日まで原則として授業はオンライン形式」と学生に通知した。実験や実習、少人数科目などの一部は対面で行う。その後は対面を増やす予定だが、状況次第という。

 学務部によると、春学期は対面を増やしており、秋学期もそれを続けるつもりだったが、デルタ株が拡大して大学生の感染者も増加。夏休み中に終わるはずだった2回目の接種が供給の遅れで9月末~10月2日にずれたことも影響し、軌道修正を余儀なくされた。

接種が早く進んだ大学は

 「学生も教員も対面を望む声…

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    増谷文生
    (朝日新聞論説委員=教育)
    2021年9月10日17時54分 投稿
    【視点】

     学生の安全が第一ですから、ある程度の学生がワクチンを打っていても、感染者が多い地域では対面授業を強行することは避けるべきでしょう。しかし、希薄な友人関係などに悩む学生も増えているので、各大学は小規模なゼミ、実験・実習などで、上手に対面授業