白玲戦、奨励会、将棋をする女の子へ 西山朋佳女流三冠が思うこと

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聞き手・村瀬信也村上耕司
西山朋佳女流三冠「半年間、7人のことを考えていた」~白玲戦七番勝負への道~【第1期白玲戦七番勝負】=村上耕司撮影
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 将棋の棋士養成機関「奨励会」を退会し、4月から女流棋士として戦う西山朋佳女流三冠(26)=女王・女流王座・女流王将。渡部愛(まな)女流三段(28)が相手の第1期白玲戦七番勝負(ヒューリック主催)が11日に始まる。女流四冠がかかる戦いを前に、女流棋士としての目標や、「女性初の棋士」まであと一歩に迫りながら奨励会退会を決断した経緯などを聞いた。

――白玲戦七番勝負を戦う心境は。

「第1期なのですごくうれしい。光栄なことだと思っています。新しく作っていただいた棋戦ですが、予選の形式も戦い方も他とは違いました。周りの成績を気にしなければならず、持ち時間2時間の将棋もやったことがなかったので新鮮でした」

――具体的に、どんな新鮮さを感じましたか。

「同じリーグの他の女流棋士の成績は気になりますし、考える要素が増えました。どんな成績の相手でも、(順位がかかっているので)全力でやってきます。結構緊張しながらやっていました」

――トーナメントとは違いますか。

「戦う7人の相手が事前に決まっているところが違います。半年間、ずっとこの7人のことを考えていました(対戦順にカロリーナ・ステチェンスカ女流初段、香川愛生女流四段、長沢千和子女流四段、山口恵梨子女流二段、武富礼衣女流初段、和田あき女流初段、中倉宏美女流二段)」

――内容を振り返ってください。

「第1局、カロリーナさんとの将棋は負けになる展開もありました。勝てましたが、『これから大変なことになりそうだ』と感じました。長沢さんとの将棋も負けを覚悟しました。どの将棋も相手の気迫を感じましたし、全員が力を込めていた戦いでした。リーグの結果によって、完全に順位で格付けされるので、そこが身の引き締まる要素かなと思います」

――リーグでは山口女流二段に敗れました。

「記憶の中ではトップクラスのポカをやってしまいました。『血の気が引く感覚』は、ここ3年ぐらいはなかったので。すごく記憶に残りました」

――その後、気持ちは立て直せたのでしょうか。

「人間は必ずミスをします。そこまで負けの将棋を拾ったことが多かったので、つじつまがあったのかなと思いました」

――立ち直りは早いですか。

「そうですね。ネット中継でもそういう(ミスの)シーンを見るので、『みんなやっているんだ』と言い聞かせていました」

――その後、トーナメントを勝ち進み、七番勝負に進出しました。相手は渡部女流三段です。

「対戦経験がほとんどありませんが、力強い将棋だと感じています。里見さん(里見香奈女流四冠)との白玲戦トーナメント準決勝もそうでしたが、二転三転(する将棋)を勝つ勝負強さがあります。手ごわい方だと思います」

――勝てば四つ目の女流タイトル獲得となります。

「普段の防衛戦よりは楽しくや…

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    村瀬信也
    (朝日新聞記者=文化、将棋)
    2021年9月12日19時33分 投稿
    【視点】

     私が中学生の時、千駄ケ谷の将棋会館道場で1人の少女と対戦しました。終盤、私は自分が優勢だと判断していましたが、自分の玉の5手詰めを見落として敗戦。詰みに気づいた時のショックは今でも覚えています。  当時の私は二段で、相手は三段。順当な結

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    高津祐典
    (朝日新聞文化部次長=囲碁将棋、文化)
    2021年9月10日17時32分 投稿
    【視点】

    将棋界には女流棋士はいますが、女性棋士が一人もいません。棋士と女流棋士はともにプロ棋士ですが、なるための制度が異なります。ざっくりと、棋士になるほうがはるかに難易度が高いといえます。 西山女流三冠はプロ棋士に最も近づいた女性です。その