SBIが新生銀行にTOB 敵対的買収に発展する可能性も

細見るい、江口英佑
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 ネット金融大手SBIホールディングスは9日、約20%の株を持ち、筆頭株主となっている新生銀行に対し、株式公開買い付け(TOB)をすると発表した。約1100億円かけて保有比率を48%まで引き上げ、連結子会社にすることをめざす。SBIは同行に資本業務提携を提案してきたが賛同を得られず、TOBに踏み切った。新生銀の対応次第では敵対的買収になる可能性がある。日本の金融業界で事前通告なしに買収に乗り出すのは極めて異例だ。

 買い付け価格は1株2千円で、新生銀の9日の終値1440円より38・9%高い。9月10日から買い付けを始める。新生銀に臨時株主総会招集を今後求める方針で、元金融庁長官の五味広文氏を新生銀の会長候補に推薦する。本人の内諾を得ているという。新生銀は「事前の連絡を受けておらず、当行取締役の賛同を得て実施されたものではない」と表明。今後は「情報を分析したうえで、早急に株主の皆様に案内する」という。

 SBIは2019年4月から新生銀株を市場で徐々に買い増してきた。地域金融機関を支える「地方創生パートナーズ」を20年8月に共同で設立するなど一定の提携も進展。しかし、大きな相乗効果を期待する証券業務などでの提携は進んでいない。事実上傘下に収めて経営の融合を進め、総合金融グループをめざす。

 新生銀の前身は経営破綻(はたん)した日本長期信用銀行公的資金が注入され、未返済額は約3500億円に上る。完済のめどは立っていない。直近の21年3月期の決算の純利益は451億円。コロナ禍で個人向け金融商品販売などが落ち込んでいる。SBI側はこうした経営状況について「経営計画の未達が目立ち、利益も減る傾向」と分析し、自発的な改革は難しいと判断。保有比率が50%を超えるとさまざまな許認可を得る必要があるため、比率を48%にとどめて速やかな買収をめざす。(細見るい、江口英佑)