ペシャワール会が農業支援再開 「安全を確認」 金融制裁で混乱も

山崎毅朗
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 アフガニスタンで医療や灌漑(かんがい)、農業支援に取り組むNGO「ペシャワール会」(福岡市)は9日、イスラム主義勢力タリバンが首都カブールを占拠した8月15日以降、休止していた農業支援を再開したことを明らかにした。同会は「活動地域の治安の安定を確認できた」とし、灌漑事業も今後再開する見込みという。

 同会は故・中村哲医師が率いた現地のNGOを通じて活動してきたが、政情の混乱を受けて活動を一時休止。その後、東部ナンガルハル州での診療所を8月21日に、レモンの収穫といった農業事業を9月2日に再開した。用水路の工事などもタリバン政権に任命された州知事の認可が得られ次第、再開する予定。

 一方、米国による資産凍結などの影響で預金の引き出し額に制限がかかり、約200人いる現地NGOの職員や作業員への給料の支払いが滞っているという。記者会見した村上優会長は「この状況が続けば大規模な灌漑工事はもちろん、医療や農業事業にも影響が出る」と危機感を示した。

 今月初めにはカブール市内の通り沿いに描かれた中村氏の肖像画が塗りつぶされた。制作者はツイッタータリバンによる行動だと指摘している。村上会長は「イスラム文化では個人崇拝を嫌う傾向があり、復古主義を掲げるタリバンが肖像画を消すことに違和感はない。中村先生の活動そのものを否定したものではないと思う」と語った。(山崎毅朗)