あの夏、ベルモンドに受けた衝撃 私は「勝手にしやがれ」と名付けた

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 6日、88歳で死去したフランスの俳優ジャンポール・ベルモンドさん。出世作で代表作でもある映画「息もたえだえ」を1959年のパリで見て、その新しさに魅了されたのが、当時映画の買い付けをしていた秦早穂子さんだ。「勝手にしやがれ」と邦題を付けて日本公開の道をつけた秦さんが、ベルモンドと出会ったあの頃を振り返る。

「これだ、こんな映画を探していたんだ」

 2021年9月7日朝。車の中で、ジャン=ポール・ベルモンドの訃報(ふほう)を聞いた。記憶は一挙に、1959年7月のパリへ飛ぶ。あの日、私は製作者ジョルジュ・ド・ボールガールの運転するおんぼろ車に乗って、郊外のジョワンヴィル撮影所へと急いでいた。

 ごたごたした編集室のスクリーンいっぱいに、ベルモンドの顔が大写しになる。衝撃の一瞬であった。端役の彼は見ていたし、その後は個人的にも会っている。しかし、どの場面より、この顔が強烈だった。たった20分のラッシュ(粗編集)で、筋も結末も分からない。

 今考えれば、マルセイユから…

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