社会のひずみへ、アスリートだからできる一歩 浦和・安藤梢の思い

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遠田寛生
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 数多くのスポーツ選手が日本を飛び出し、海外でプレーするようになった。世界の多様性を学ぶ一方、そこに差別があることも知るようになる。

 だからこそ、選手たちは差別に抗議し、東京オリンピック(五輪)でも行動を起こした。サッカー女子の新リーグWEリーグ、浦和レッズレディースFW安藤梢(こずえ)はドイツで長くプレー、選手が発信することの意味も知る存在だ。最近のスポーツ界の変化について尋ねてみた。

東京オリンピックで見せた、なでしこの発信

 話を振ると、安藤は感慨深げだった。7月24日の東京五輪サッカー女子1次リーグ英国―日本戦。事前に英国がひざをつくことを知り、日本の動向に注目していたからだ。

 「日本人って、色々な取り巻く環境でなかなか表現できないこともあります。その中で意思表示をしました。表現したのは、素晴らしかったと思います」

 主将のDF熊谷紗希は、知り合いの英国選手から連絡を受け、チーム全員で話し合ったと明かしている。そして、試合開始前、日本の選手たちは英国チームに同調し、ピッチ上で片ひざをつき、人種差別に抗議した。そんな姿が話題を呼んだ。

 ブラック・ライブズ・マターBLM)やアジア人差別……。世界中で差別や偏見は今もなお続く。

 安藤自身も2010年から7年半プレーしたドイツで、差別を受けたことがある。

 ドイツ1部デュイスブルクに所属した12年ごろ、試合中の出来事だった。

 「ぶつかった相手選手が怒りから私に向かって目を細くする(アジア人蔑視の)ジェスチャーをしてきました。日本人を差別するような態度。普通の怒りじゃなく、悔しさがこみあげて特別な感情になりました」

 珍しく熱くなった。思わず、猛烈に抗議もしていた。

 「世界では当たり前というか、世の中に差別があるということを体感しました」

 救われたのは、チームメートの行為だった。

 「ドイツ人の選手が間に入ってくれました。『今度やったら二度と許さない』という感じで、すごい怒ってくれたんです。チームメートはみんな、私を助けてくれました。人種や国籍とか関係なく、お互いに信頼関係があれば守ってくれるんです」

 相手選手も試合後に安藤を訪ね、謝罪してきたが、自分の中での差別への意識が変わった。

記事の後半では、安藤梢選手が自身の中国やドイツでの体験をもとに、アスリートの発信力の強さについて語ります。

日本人も差別の対象

 日常で起きうることだとも知った。

 近所のドラッグストアに入っ…

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