スペイン語のコロナ情報、音楽に乗せ ボリビア人協会がネットラジオ

新型コロナウイルス

大滝哲彰
[PR]

 今月4日、津市大門の津センターパレス内の一室。津市に拠点を置くNPO法人「日本ボリビア人協会」に所属するボリビア出身の男女4人が集まり、スペイン語でインターネットラジオの収録をしていた。

 「三重県は、9月25日からボートレース津のツッキードームで、モデルナ社のワクチンを用いた集団接種を行うと発表しました」

 このとき、こんな情報をラテン系の音楽に乗せて、スペイン語で伝えていた。番組で扱うのは、新型コロナウイルスワクチン接種に関する情報だ。

 理事長の山田ロサリオさん(69)は「南米ではみんな車の中で音楽を聴くのが大好き。行政の注意喚起は届かないことが多いから、こうして音楽を流しながらコロナに関する注意喚起をしているんです」と話す。

 ネットラジオでの情報配信を始めたのは5月から。その1カ月前、収録のディレクターを務める大西アレックスさん(45)は、ボリビアにいる両親を新型コロナの感染で亡くした。「感染がこれまでよりも心配になった」と言う。

 県内では4月の全感染者のうち、外国籍とみられる人たちが約2割を占めた。親族間などで開いた大人数のパーティーでの感染も多く見られた。これに山田さんは危機感を抱き、音楽の編集などを勉強していた大西さんにネットラジオ収録の話を持ちかけた。

 毎週土曜日、アシスタントも含めた4人で収録し、日曜から月曜にかけて24時間、専用のアプリで配信している。毎回約1千人が耳を傾けているという。

 大西さんは「いまが本当に危ない状況だということを理解してほしい。情報を得ることで危機意識をみんなに伝えたい」と語った。

     ◇

 県ダイバーシティ社会推進課によると、県内に暮らす外国人は5万4854人(2020年末現在)。13年からほぼ右肩上がりで増加している。国籍別では、最も多いブラジルが1万3219人で、ベトナム、中国、フィリピンと続く。

 県のホームページ「Mie Info」は、ポルトガル語やスペイン語など日本語を含め、7言語で発信する。担当者によると、月別の平均アクセス数は1万件程度。担当者は「言葉の壁もあって、行政のメッセージが行き届く範囲には限界がある」と漏らす。

 外国人の感染が急増傾向にあったことに危機感を強めた県は4月、外国人コミュニティーとつながりが深い12団体を集め、新型コロナの情報を共有し合うための実行委員会を組織した。

 12団体のうちの一つ、NPO法人「愛伝舎」は、フェイスブックでの多言語発信に力を入れる。

 5月2日、感染拡大に関する「県からのお願い」をポルトガル語などの3言語の有料広告で配信すると、計1万384人に届いた。64歳以下のワクチン接種券の発送状況に関する6月22日の有料広告は、1万8394人に届き、206人がシェアしたという。

 坂本久海子理事長は「外国人の中でも積極的に動いてくれる人がいる。そういったキーパーソンとの関係を築いて、それぞれのコミュニティーに広めてもらうことが重要だ」と話す。(大滝哲彰)

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[記事一覧へ]