川越弁天横丁で喜多町長屋の修復終わる

西堀岳路
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 【埼玉川越市の観光名所・蔵の街近くにあって、かつて芸者の置屋が並び今も築100年ほどの往時の建物が残る「弁天横丁」で、その1棟の「喜多町弁天長屋」がこの夏、有志グループの手で修復された。芸者たちが待機した各室には、アートや物作りの若手が入居し、新たなにぎわいの場を目指してスタートをきった。

 約100メートルの横丁路地には他に「麻利」と「元町」の長屋が残る。喜多町弁天長屋は、2階に芸者が顔をのぞかせていた手すり付き窓があるほか、群青色に塗った外壁が当時をしのばせる。廃業後、元芸者らが建物を改造しながら小料理屋などを営んでいたが、最近は老朽化し、空き家になっていた。

 7年前に麻利長屋を修復した「川越蔵の会」(落合康信会長)が、第2弾として昨年、着工。新建材で改造、増築された部分を取り除き、波打っていた瓦屋根をふき替え、外見はほぼ原形を取り戻した。費用はこれまで約1千万円。会員持ち寄りのほか、一部がまだ工事中のため、現在も資金を募っている。

 入居者たちは、それぞれ自分たちの手作業で店舗や工房、ギャラリーへと、思い思いに内装をこしらえた。手作りおかずの定食がメインのカフェ「トモリ食堂」、かばんや靴など革製品を修理する「坂庭」、竹に絹糸を巻き漆を塗る江戸和竿(ざお)(釣りざお)の「小春」などが営業を始めた。

 トモリ食堂の田代友里さんは「古民家を自分で改装するのにあこがれていた。その思いと、ここの裏路地の雰囲気がぴったりだった」と話す。地元の人に愛される地域密着型の店を目指すという。9月中には、仕切り直した9室がすべて埋まる見通しだ。

 まだ空いている部屋を使い、9日からは、市中心部に作品を展開する市内在住の田中毅さんの石彫展がスタート。19日まで。入場無料。(西堀岳路)