ベーブ・ルースは数字だけじゃない 社会変えた二刀流、次の大谷は

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聞き手=編集委員・安藤嘉浩
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 1918年のベーブ・ルース以来となる「同一シーズン2桁勝利と2桁本塁打」をかけ、大リーグ・エンゼルスの大谷翔平が10日(日本時間11日)、アストロズ戦に先発登板する。日米の野球史に精通するノンフィクション作家の佐山和夫さん(85)に、ルースの二刀流と大谷への期待を聞いた。

「やったぜ、ベーブ」が聞きたくて

 時代や環境などの違い以前に、2人には決定的な違いがある。大谷君は二刀流を目指している。一方、ベーブの二刀流は、彼が望んだものでも、目指したものでもなかった。

 彼が2桁勝利(13勝)と本塁打(11本)を達成した103年前は、第1次世界大戦とスペイン風邪によるパンデミックで選手が減ってしまった。レッドソックスの監督はやむを得ず、打撃のいいベーブを外野手でも使ったんだ。当時の彼はリーグを代表する左投手。この年もワールドシリーズで2勝を挙げ、30イニング近い無失点記録も作っている。監督の本音は、投手に専念させたかった。

 一方、ベーブは「俺は打者でいきたい」と主張し続けていた。「監督に何回も頭を下げた」と自叙伝にも書いている。投手は4日に1回しか投げられない。打者なら毎日4、5回打席に立ち、打てば「やったぜ、ベーブ」とファンが喜んでくれる。彼は毎日、その声を聞きたかったんだ。

 翌19年からベーブは外野手としての出場が増え、21年のヤンキース移籍後に本格的に実力を発揮したのはご承知の通りだ。ただ、彼の最大の功績は、実は本塁打をたくさん打った(714本)ことではない。

 ベーブは世の中を動かしたんだ。

 彼の活躍により、新聞や雑誌…

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