「もんちゃんですよね」路上生活のおじさんに渡された一枚の手紙

有料記事

佐藤恵子
[PR]

 人通りのない深夜の帰り道。シブヤメグミさん(47)は東京・新宿の自宅マンションの前で、たたずむ男性と目が合った。白髪交じりで肩まで伸びた髪。ぼろぼろの厚手のコート。鼻をつく臭いが漂ってきた。

 鍵を持っていた右手を握りしめて近づくと、声をかけられた。

 「すいません。『もんちゃん』ですよね」

 それは30年近く前の、女子校時代のあだ名。人形の「モンチッチ」にそっくりなベリーショートでそう呼ばれていた。でも、なぜ。うわずった声で「はい」と返すと、男性はうつむきがちに言う。「もんちゃん、いつも朝に本を捨てていますよね。読ませていただいています」。毎週のように大量の文庫本を捨てていた姿を見られていたらしい。

 男性の話は続く。へそくりが…

この記事は有料記事です。残り810文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません