「駐留する限り平和は訪れない」 元米海兵隊員が米軍撤退支持のわけ

有料会員記事アフガニスタン情勢

ワシントン=高野遼
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 8月末、現地に大混乱を引き起こしながら、20年に及んだ米軍のアフガン駐留は幕を閉じた。海兵隊員としてアフガニスタンで戦場に立った経歴を持つ、米クインシー研究所のアダム・ワインスタイン研究員は、それでも米軍撤退は正しい判断だったと訴える。米軍駐留の実態を振り返り、米国が学ぶべき教訓を聞いた。

 ――海兵隊員としてアフガニスタンで経験したことを聞かせてください。

 「2012年、海兵隊下士官としてアフガニスタンのウルズガン州に派兵されました。23歳でした。まずショックだったのは、小さな村の10人程度のタリバン戦闘員を掃討するために、米軍が大量の兵士や戦闘機を投じていた光景でした。若き下士官にとっても、どれだけの費用がかかっているかは想像に難くなかった。とても効率的とは思えませんでした」

 「完全に不均衡な戦いでした。米軍の方が戦闘能力は高くても、勝利までに達成すべきことも多かった。対するタリバンは、戦い続けるだけで勝利のようなものでした」

 ――当時の米軍がアフガニスタンで目指していたことは?

 「私が派兵された頃は、すでに米軍撤退に向けて『アフガニスタン政府軍に主導権を任せよう』と言われていました。だが現地の兵士たちを見て驚いた。基本スキルさえ備わっていなかったのです。銃の扱い一つとっても、逆さ向きに持つとか、仲間に銃身を向けないとか」

 「たとえばラジオの使い方を教えようとしても、文字も読めないし、算数もできない。周波数を教えるには、まず小学校や幼稚園レベルの算数から教えないといけない。そんな兵士たちに主導権を任せるという計画は馬鹿げていたのですが、米国では真剣に論じられていたわけです」

 ――現場で多くの兵士たちはそうした疑問を抱きながら戦っていたのでしょうか。

 「特に海兵隊は、チームスピリット(団結心)を重視し、個別の任務のためというより、国のために戦うという精神があります。あらゆる命令には従うという文化です。また、若い兵士たちは戦場での経験を心待ちにするもの。任務中はそこまで深くは考えていませんでした」

 ――自身がアフガン駐留に疑問を抱いたのは?

 「帰国後、年数が経つごとに『我々はまだ駐留しているのか』との思いが募りました。米軍は現地の暴力を抑えてはいましたが、駐留する限り平和が訪れないのも事実だと気づいていたからです」

 「アフガニスタンでは、米軍…

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