スリランカ女性の監視映像、遺族視聴せず 弁護士立ち会い入管庁拒否

編集委員・北野隆一
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 名古屋出入国在留管理局で収容中に死亡したスリランカ人ウィシュマ・サンダマリさんの遺族らが10日、生前の様子を映した監視カメラのビデオ映像の開示を受けるため、東京・霞が関出入国在留管理庁を訪れた。映像を再生する際、遺族は代理人弁護士の立ち会いを求めたが、入管庁が拒んだため、遺族らは視聴をしなかった。

 映像は遺族や野党国会議員らが開示を求め、入管庁が拒んでいたが、上川陽子法相が「遺族の心情に思いを致し」たとして開示を指示していた。

 入管庁は、記録が残る2月22日から死亡した3月6日までの13日分の映像を2時間に編集し、8月12日に遺族に開示。ウィシュマさんが衰弱する様子や、職員が笑いながら介助する場面に、妹2人は衝撃を受けて体調を崩し、1時間10分ほどで視聴を中断した。その後も姉の姿を思い出して眠れなくなるなど、回復に時間がかかっているという。

 遺族らはこの日、映像の続きを視聴するため入管庁を訪れ、「弁護士と一緒に見たい」と求めた。佐々木聖子・入管庁長官は「一緒にご覧になるのは難しいというのが最終的結論。見ていただいてお母さんにお伝えいただくのがよいと思うが、そういうことであれば、役所として次の機会を設けるのは難しい」と答えたという。

 遺族らは法務省前で、映像の開示や再発防止徹底を求めるオンライン署名賛同者7万人余の数字が記された板を手に、取材に応じた。遺族側は「映像を持ち帰って母に見せたい」と、記録が残る13日間の映像データ全部を複製して渡すよう求めているが、入管庁は応じていない。(編集委員・北野隆一