タイで選挙制度の憲法改正、大政党有利に 市民が求める改正には遠く

バンコク=貝瀬秋彦
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 タイの国会は10日、選挙制度に関する憲法改正案を可決した。改正は大政党に有利に働くとみられ、最大与党と最大野党の思惑が一致した。軍事政権下で制定された現憲法の改正は初めてだが、反政府デモを続ける市民らが求めてきた王室関連も含む抜本的な改正にはほど遠い内容だ。

 小選挙区に投じた1票が比例代表にも適用される現行制度から、小選挙区比例代表に1票ずつを投じる従来の方式に戻す。また、小選挙区の議席を増やし、比例代表を削減する。

 現行制度は大政党に不利で、2014年のクーデターで政権を追われたタクシン元首相派の政党を抑え込むために導入されたとされる。

 その後、軍政の流れをくむプラユット政権を支える最大与党が補欠選挙などで勝利を重ね、元の方式に戻した方が自らに有利だと判断。最大野党のタクシン派政党も、自らの勢力増につながると判断した。

 軍や政権批判の先頭に立つ野党第2党が打撃を受けるのは必至で、政権側には「民主派つぶし」の狙いもありそうだ。

 昨年から続く反政府デモで市民らは王室に関する条項や、軍政が事実上任命した上院議員の権限の見直しを含む抜本的な憲法改正を求めてきたが、改正は大政党の利害が一致する部分にとどまった。(バンコク=貝瀬秋彦)