市川市の生活保護打ち切りは「違法」 地裁判決

藤谷和広
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 国の更生緊急保護を受けて、住居などが提供されていることを理由に、千葉県市川市生活保護を打ち切った決定は違法だとして、市内の男性(73)が市に決定の取り消しを求めた訴訟の判決が10日、千葉地裁であった。内野俊夫裁判長は、市の決定の違法性を認め、取り消しを命じた。

 更生緊急保護は、刑務所の出所後や、執行猶予付き判決を受けた後などで、生活に困った人が、法務省管轄の保護観察所に申し出ることで受けられる。再犯を防ぎ、更生を支援する制度。

 男性は2016年1月下旬から4カ月間、更生緊急保護を受け、千葉保護観察所の委託を受けたNPO法人のシェルターに入所。市に生活保護も申請し、住宅扶助を除く、生活扶助費を受給していた。

 しかし、市は同年4月、「更生緊急保護と生活保護の併給状態を解消するため」として、5月分の生活扶助費を支給しない決定をしたほか、4月分も返納させる決定をした。

 原告側は訴訟で、生活保護の打ち切りで「衣服や日用品を買うことも散髪に行くこともできず、健康で文化的な生活水準を維持することはできなかった」などと主張。内野裁判長は「(男性の)必要な生活需要が満たされていたと認めることはできない」とし、市に「裁量権の逸脱または濫用(らんよう)があった」とした。

 男性の代理人の及川智志弁護士は判決後、「最後のセーフティーネットという生活保護の正しい理解に基づいた画期的な判決」と評価した。市川市生活支援課は「判決の内容を精査し、控訴するか否かを検討する」としている。(藤谷和広)