苔アート、水はなくとも 北茨城の山縣さん開発 生きたものを素材に

伊藤良渓
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 ガラス器に苔(こけ)を敷きつめる「苔アート」の魅力を発信してきた茨城県北茨城市の苔アート作家・山縣健志さん(57)が、特殊な加工をした苔の開発に成功した。生きた苔を素材にしており、触感も再現。「モスチャー」と名付けたこの苔なら、水やりが不要で、気軽に手元に置くことができる。

 濃淡鮮やかな緑色の苔に触れると、しっとりと水気を感じる。まるで生きている苔のようだ。名前は「モイスチャー(水分)」と「モス(苔)」をかけた。注意書きには「水は絶対にあげないで」と書いてある。

 山縣さんは、同市に拠点を置く「日本苔アート協会」の代表。2018年に協会を設立して以来、市が貸し出している廃校を拠点に、初心者向けの苔アート作りの体験講座を開いてきた。

 苔に魅せられた原点は、高校の修学旅行で訪れた京都・西芳寺だ。苔寺とも呼ばれる。「苔のむした庭に入った瞬間、空気がひんやりとして、緑が生き生きとしている姿が忘れられなかった」

 4年ほど前、市内に自宅を購入した際、「自分で苔庭をつくってみよう」と思い立った。

 まったくの素人だったが、株を拾ったり、買ったりしてきては庭に植えた。時には枯らしながら、1年半ほどかけて庭を完成させた。苔の種類や特徴、育て方は独学で身につけた。「霧吹きで水を一吹きすると、『待ってました』と言わんばかりに元気になるのがかわいらしくて」と山縣さんは目を細める。

 苔アートの魅力を伝える中で、管理の難しさから起こる「苔離れ」も目の当たりにしてきた。生きている苔は水分調節や日の当て方が難しく、ハードルの高さを感じる人も多いという。「もっと気軽に、苔を楽しんでもらえないか」。昨年から新たな苔開発に乗り出した。

 モスチャーには栽培した苔を使う。同じ緑色でも鮮やかな濃淡を使い分けることや、まるで生きているかのような、しっとりとした触感を再現することにこだわった。半年かけて、理想の苔にたどり着いた。

 「デスクなど身近なところに飾って、目を休めてほしい」との思いから、ガラス器も、5センチ四方の特注サイズを導入した。

 8~14日、東京の丸善丸の内本店で展示会が開かれている。作品を鑑賞したり、購入したりできる。値段は5センチ四方のミニサイズで5500円だ。

 対面での接客を避けるため、会場には協会の公式LINEアカウントを登録できるQRコードを用意。登録してメッセージを送れば、山縣さんやスタッフが遠隔で質問に答えてくれるという。山縣さんは「変わらない接客を、オンラインで提供したい」と話す。問い合わせは同協会(050・5471・7237)へ。(伊藤良渓)

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