コロナで減った外食需要、コメ農家を直撃「ちょっとショックな数字」

増田洋一 山谷勉
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 JA全農あきたは10日、今年産の主食用米の「JA概算金」(全農あきたが各JAに支払う60キロあたりの仮渡し金)を昨年より2000円引き下げることを決めた。引き下げは2年連続。主力のあきたこまちは、過去10年で3番目に安い1万600円になった。

 コメ消費の長期的な減少傾向に加え、コロナ禍で外食産業などの業務用需要が大幅に減っていることが響いた。各JAが必要経費などを差し引いて農家に支払う生産者概算金は、あきたこまちの場合、1万円程度になりそうだ。

 JA秋田中央会の斉藤一志会長は概算金について「ちょっとショックな数字。再生産のためには1万2000円は必要だという声が大きいが、そこを割ってしまった」と話した。

 概算金を大幅に引き下げた最大の理由は、昨年産米の全国の在庫量が高水準だから。全農は昨年産米の今年11月時点の在庫量を40万~50万トンと、前年同期の約2倍に膨らむと見込み、在庫消化に約1年かかると想定する。

 一方、今年産米の作柄は北海道や山形県などが「やや良」、新潟県秋田県などが「平年並み」と、主産地を中心に安定した収穫が予想されている。供給が大幅に減ることは考えにくい。これらの事情が大幅下落に結びついた。

 すでに決定した他県産地の概算金も大幅に下落。新潟コシヒカリ(一般)が前年より1800円安い1万2200円、北海道のななつぼしが同2200円安い1万1000円、茨城のあきたこまちが同2500円安い9500円などとなっている。

 来年秋に本格デビューする秋田米の新品種サキホコレについては、今年、先行作付け・販売という位置づけだ。生産者や販売数量が限られていることから、全農あきたは10日、今年産に限り、作付けのあるJAから全量買い取ることを決めた。17日に買い取り価格を決めるという。(増田洋一)

「この値段でいくとつらい」

 コメどころの農家からは悲鳴やあきらめの声が聞こえてきた。

 大型コンバインで10日から稲刈りを始めた横手市大雄の小棚木裕也さん(29)は「ハイパー打撃だ」と口を開いた。地域では、ここ数年の価格より下がらないと思い、機械を新しくした農家も多いという。「この値段でいくとつらい」とこぼした。

 18ヘクタールにコメを作付けする小棚木さんは「10ヘクタール以下ではやっていけないのではないか。どこか働きにいかないといけない。やめる農家もでてくる」とみる。一方で、稲作だけでやっていくには「規模を拡大して、経費を節約するしかない」と農地の集約がますます進むと予測する。

 3ヘクタールでコメを作付けする別の農家の日野原浩二さん(73)は「コロナ禍で米の消費が伸びない。外国からはミニマムアクセス米も入ってくる。このご時世ではしょうがない」と語った。農家の間では「いくら下がるのかな。(子供に)継がせることができない」と話題になっていたという。「農業しかない中で、先の見える農業であってほしい」と望む。「実りの秋と言うが、こうべを垂れるのは農家だ」(山谷勉)