「9・11に喝采」 トランプ氏にレッテル貼られた、ムスリムの街

有料会員記事米同時多発テロ

ジャージーシティー=中井大助
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 マンハッタンの南端からハドソン川を挟んですぐ。ニュージャージー州ジャージーシティーは、世界貿易センター(WTC)のビルが最もよく見えた場所の一つだ。

 2001年9月11日朝、ジャージーシティーに住む医師のアーシャド・チャタさん(73)はニューヨークへ通勤するため、車に乗っていた。旅客機がWTCに突っ込んだというニュースが入ってきた。チャタさんは、WTCビルの崩壊を目の当たりにした。「医師として、ニューヨークに行って救助にあたりたかったが、道路が封鎖され、行けなかった」と振り返る。

 ジャージーシティーは現在、30万人近い人が住む。人口の約4分の1がアジア系で、中東や南アジアから移り住んだイスラム教徒が多い。チャタさんも1972年にパキスタンから米国に移民した。チャタさんは「9・11の後はしばらく、ニュージャージーでも外を歩くのを怖がるイスラム教徒の女性がいた。しかし、この街は多様なコミュニティーで構成され、お互いを知っている」と語る。

 憎悪を感じることはなかった。だが、大統領選へ出馬表明していたトランプ氏が15年11月、集会で発した言葉に衝撃を受けた。

 「私は、WTCビルが崩落するのを見た。そして、ジャージーシティーでは何千人もの人が、喝采を送っていた」。「過激なイスラム主義のテロ」への対抗を公約に掲げていたトランプ氏は、こう言い放った。

 ジャージーシティーの市長はトランプ氏の発言について「事実と異なる」と反論したが、トランプ氏はメディアで追及されても「ニュージャージーのアラブ人口が多い場所で、喝采を送っている人がいた」と繰り返した。さらに、15年末にテロ事件が起きると「イスラム教徒の入国を、当面禁止すべきだ」などと主張を激化させていった。

 露骨に「反イスラム」をあお…

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