76年前の旧満州(中国東北部)の風景や人々を、絵画の形で克明に「再現」した青年画家がいる。東京芸術大大学院に籍を置く津絵太陽さん、25歳だ。この1年ほどで描いた、そうした絵画約20点を集めた個展「みなそこへ。」が14日まで、東京都中央区の日本橋高島屋の美術画廊で開かれている。高い技術に裏打ちされた、静けさを感じさせるモノトーンが基調の写実的な表現。津絵さんは、なぜ旧満州を描き、何を伝えようとしているのか。
塹壕(ざんごう)の中で一服しているかのような兵士の姿が大画面に、高精細のモノクロ写真かと見まがうほどに精密に描かれている。古い写真を元にそのまま描いたわけではない。当時の写真や資料を調べ、実際に穴を掘って塹壕を作り、当時の軍服を着た男性に入ってもらった。その様子を描いているのだ。大地に立つ女性像も、現地で取材した風景とモデルの女性を組み合わせている。
街角を描いた作品でも、古い写真から起こしたものもあれば、現在の建物から当時の姿を「復元」したものもあるという。
津絵さんは話す。
「古い写真をそのまま描いて…
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