「ここに立つことは、つらい」 同時多発テロの現場、献花相次ぐ

米同時多発テロ

ニューヨーク=中井大助
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 米同時多発テロから20年を前に、ニューヨークの世界貿易センター(WTC)の跡地に設けられた追悼施設を訪れる人が相次いでいる。10日も、親族や友人を亡くした人たちの献花が続いた。

 キャシー・ロプリオレさん(31)はこの日、母親のいとこ、メリッサ・ドイさんの名前が刻まれた場所に花束を置いた。「ここに立つことは、まだつらい。それでも毎年、気持ちを示すために来る」

 ドイさんは当時、32歳。WTCの南棟で働き、飛行機が激突した後は83階に閉じ込められた。救急隊に助けを求める電話で「私たちは息ができない。そして、とても、とても、とても熱い。私は死ぬ。分かっている」と悲痛な声で訴える様子は記録され、テロに関連した被告の裁判でも公開された。

 生きていれば、まだ働き盛りの年齢。「多くの人がまだ事件から影響を受けている。悲しみは続く」とロプリオレさんは語った。

 カンザス州から両親とともに、ニューヨークへ観光に来たダン・ホフマンさん(36)は初めて、追悼施設を見た。ツアーガイドから、知人女性が亡くなったと教えてもらい、その女性の名前に一輪のバラを捧げた。「犠牲者に知り合いはいなかったが、これで個人的な事柄になった。意味合いもそれだけ大きい」と語る。「時間とともに、テロの記憶はかすれてしまうが、ここに来ると現実のこととして感じられる」

 4機の航空機がハイジャックされ、事件に用いられたことは航空関係者に衝撃を与えた。アメリカン航空のパイロットらで作る団体は毎年、花輪を現場に供えている。会長のエリック・ファーガソンさん(49)は「飛行機に爆弾を仕掛けるという可能性はあっても、機体を大量破壊兵器として用いるとは考えていなかった」と振り返る。

 今では搭乗前や機内のセキュリティーが強化され、同じような事件は起こりにくい。それでも「機内で異変がないか、常に注意を払っている状態は続く」という。(ニューヨーク=中井大助