「抜け忍」が原点 仮面ライダーの作り手が語る混沌の時代のヒーロー

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聞き手・稲垣直人
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 1971年4月、藤岡弘、さん扮する仮面ライダー1号のテレビ放映がスタートしてから、ちょうど今年で50年。昭和、平成、令和とバトンをつなぎ、9月には新シリーズ「仮面ライダーリバイス」の放映が始まりました。作り手たちはこの半世紀、どんな思いで歴代ライダーを描いてきたのか。平成以降のライダーの制作を手がけてきた東映の白倉伸一郎プロデューサー(56)に話を聞きました。(聞き手・稲垣直人)

 1965年生まれ。90年に東映入社。以来、平成期の仮面ライダーとスーパー戦隊シリーズを数多く手がけてきた特撮ヒーローのヒットメーカー。現在、同社取締役、テレビ第二営業部長。著書に「ヒーローと正義」(品切れ)。

 「私自身、50年前の子どもとして、仮面ライダーをリアルタイムで見ていた一人でした。東映入社後の初仕事も、ライダー20周年記念のVシネマで、以来、平成・令和ライダーの制作に関わってきました。シリーズごとに模様替えをしながら連綿と続けてきましたが、必ず受け継いでいかなくてはならない魂、エッセンスのようなものがあると考えています」

 ――それは何ですか?

 「ヒーローも人間、対峙(たいじ)する敵も人間。陣営は違っても、人と人との戦いということです。仮面ライダーはそもそも、秘密結社ショッカーによって作られた改造人間、つまり悪のテクノロジーが刻印されているという設定です。石ノ森章太郎先生の原作が、本来なら抜け出すことが許されない組織から足を洗った忍者、『抜け忍』の発想がベースにあることは知られています。敵の怪人も改造人間ですから、元をたどれば同族同士。他のヒーローなら、敵は異星人という設定もありうるのですが、仮面ライダーはそういうわけにはいきません」

写真・図版
漫画家の石ノ森章太郎さん=1990年1月12日、東京都港区虎ノ門2丁目、花井尊撮影

スタート当時 冷戦下の世界観

 ――白倉さんは「正義とは何か?」というテーマにもこだわってきました。

 「仮面ライダー自身、敵によって生まれたという点で、後ろめたさがあります。初めからアプリオリ(先天的)に正義なのではない。『自分は正義』というなら、その大義を自ら勝ち取っていかなくてはならない。これは放映スタート当時、米ソ冷戦のただ中だったこととも関係する世界観です」

 記事後半では、白倉さんが混沌とする世界のなかで、作り手として考えるヒーロー像について語っています。子どもには難しい、と言われることもある近年のライダーをめぐり、自身の子ども時代を振り返って考える「のどに引っかかったトゲ」の必要性とは?

 ――ちょうど20年前、米国…

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