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行く手阻んだタリバンの検問 唯一退避の日本人、緊迫の出国劇を語る

アフガニスタン情勢

バンコク=乗京真知
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 イスラム主義勢力タリバンが政権を崩壊させたアフガニスタンから、自衛隊機で国外退避した唯一の日本人である安井浩美さん(57)が、朝日新聞のインタビューに応じた。タリバンの厳しい検問を約2時間半かけて通り抜け、首都カブールからの出発にこぎ着けた緊迫の状況が明らかになった。

 安井さんは1993年から現地取材を続けてきたジャーナリストで、現在は共同通信社カブール通信員を務める。

 退避先の隣国パキスタンから電話取材に応じた安井さんによると、当初は8月26日午後に自衛隊機で退避する予定だったが、直前に自爆テロが起きて空港が閉鎖されてしまった。

 翌27日午前4時に日本政府から「カタール軍用機に乗れる」と告げられ、午前7時に集合場所のホテルに着いた。タリバン戦闘員2人が現れ、安井さんの他に外国人記者ら12人の身元を点検。外国人記者のアフガニスタン人助手は、出国を認められなかったという。

 午前11時にバスでホテルを出たが、途中のタリバンの検問所で足止めされた。検問所のタリバン責任者がいないという説明だった。

 約1時間後に通過が認められ、検問所を抜けて空港の敷地内へ。そこでも軍服姿のタリバン戦闘員がバスに乗り込み、外国人かどうかを確認した。

 安井さんは「アフガニスタン人は絶対に脱出を許さないという意思を感じた」という。

 ホテルから空港まで通常なら20分ほどの距離の移動に、約2時間半を要した。安井さんだけがカタール軍用機に乗らず、自衛隊機に乗った。

 安井さんと一緒に退避する計画だった日本大使館国際協力機構(JICA)のアフガニスタン人スタッフら約500人のほとんどは、現在も退避する手立てがなく、現地にとどまっている。(バンコク=乗京真知