ジョコビッチの悲願砕いた新世代 変わり始めた男子テニス界の主役

堤之剛
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 テニスの4大大会、全米オープンの最終日は12日、ニューヨークのビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンターであり、男子シングルスは世界ランキング2位のダニル・メドベージェフ(ロシア)の4大大会初制覇で幕を閉じた。決勝で、1969年以来同種目史上3人目の年間グランドスラム(GS=4大大会全制覇)を狙った同1位のノバク・ジョコビッチセルビア)を6―4、6―4、6―4で下した。同種目の4大大会単独最多となるジョコビッチの21度目の優勝も阻んだ。

 車いす部門のシングルス決勝は、男子の東京パラリンピック金メダルの国枝慎吾ユニクロ)が第2シードのアルフィー・ヒューエット(英)を6―1、6―4で破り、2年連続8度目の優勝。女子は東京パラ銀の上地結衣(三井住友銀行)が同金のディーデ・デフロート(オランダ)に3―6、2―6で敗れた。

 11日は、女子シングルス決勝で、予選勝者の18歳のエマ・ラドゥカヌ(英)が19歳のレイラ・フェルナンデス(カナダ)を6―4、6―3で下し、初優勝。1968年のオープン化以降、4大大会で予選を勝ち上がった選手の優勝は初、4大大会2度目の出場での優勝は史上最短となった。車いす部門のダブルス決勝は、男子は国枝、グスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)組が、女子は上地、ジョーダン・ホワイリー(英)組が準優勝。

ビッグ4から新世代へ

 表彰式で、ジョコビッチは拍手を受けながら顔をゆがめた。届かなかった悲願の年間グランドスラム。「とても悲しい。一方で、ニューヨークでこれまで感じなかった観客からもらった応援や元気を永遠に忘れない」

 メドベージェフの高速サーブと堅い防御に、なすすべがなかった。自身のミスショットも重なった。第2セット第2ゲームではブレークポイントを握りながら、5ポイントを連取されて落とした。第4ゲームではラケットを何度もたたきつけ、破壊した。

 4大大会の優勝は近年、34歳のジョコビッチ、40歳のフェデラー(スイス)、35歳のナダル(スペイン)、34歳のA・マリー(英)がほぼ独占。2008年全豪から20年全豪の49大会のうち、44大会の優勝者は「ビッグ4」と呼ばれた4人のいずれかだった。

 ところが、昨年の全米はティエム(オーストリア)が初優勝。東京五輪はA・ズベレフ(ドイツ)が金メダルに輝き、今回の全米もメドベージェフが初めて制した。3人ともに20代。男子テニス界の主役は変わりつつある。

 世代交代の流れにあらがうように、ジョコビッチは誓った。「私はまだまだ優勝を狙う」(堤之剛)

初優勝のメドベージェフ、練った周到な作戦

 メドベージェフは、ジョコビッチとの決勝を控え、コーチと普段の3倍以上の30分をかけて作戦を練った。過去の対戦成績は3勝5敗。2月の全豪決勝でも敗れた。相手は柔軟に攻め方を変えてきたが動き続け、過去2人しかいない年間グランドスラムの偉業を阻止した。メドベージェフは「申し訳ない。だけど、偉大な歴史をつくってきた彼に勝てて自信になる」。