カブール「中国城」主が語る 私とアフガン

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アナザーノート 吉岡桂子編集委員

 アフガニスタンの首都カブールに初めて、電話をかけた。相手は、中国出身の余明輝さんだ。イスラム主義勢力タリバンが政権を崩壊させた後も、現地に残ってビジネスを続けている。中国メディアで名前を見かけて取材を申し込んだところ、応じてくれた。「9・11」同時多発テロが起きた半年後に足を踏み入れてから約20年。太陽光発電パネルからインスタントラーメンまで、中国製品を売る店舗を集めた商業ビル「中国城」のあるじでもある。

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「1週間だけ閉めた」

 米軍撤退前後の混迷のなかでも、「中国城」が臨時休業したのは、カブール「陥落」の8月15日から1週間だけだった。

 「タリバンがどんな行動をとるか分からなかったので、いったん閉めたのです。地元の友達が安全だと言う場所にしばらくいました。今はもう、この周辺をみると、秩序を取り戻しつつあります。我々だけでなく、近所の店や市場も次々に店を開いています」

 窓からは米軍が残した小型四輪駆動車でパトロールするタリバンの姿が見えるという。8月末には、遅れていた中国からの貨物もパキスタン経由の陸路で到着。電気製品や日用品などがいつも通り届いた。税関によると、タリバンがやって来てから最初に輸入された外国からのコンテナだった。家に閉じこもっていた地元の人々も外出し始めた。中国城前の広場にお茶を飲みに来る人もいる。ただ、開きつつある銀行は、預金者1人あたり週に200ドル(約2万2千円)、現地通貨なら2万アフガニ(約2万7千円)までしか引き出せない。

 「銀行の営業の再開は、経済活動を復活させる象徴の意味が強い。タリバンは過去の印象を変えたいと、女性を含む基本的な権利を保障するとか、庶民の生活を守るとか発信しています。悪い学生が良い学生になろうとしているかのようだ。しかし、彼らが残した傷痕は大きい。今の段階ではどこまで実行されるかは判断できず、みんな様子見です」

 タリバンは中国城にもやって来た。警備を務めるアフガニスタン人に対して、こう言った。「何か困ったことがあったら必ず助ける。面倒があったら言ってくれ。中国人は友達だ」

「逃げ出すやつとは……」

 米軍が撤退し、日米欧などが大使館を一時閉鎖した今も、中国大使館はロシアと同様に業務を続けている。そうはいっても、中国政府も現地の中国人に対して、治安悪化を理由に再三再四、国外退避を指示した。7月にはチャーター便で200人余りが中国へ帰国した。余さんはなぜ、残ったのか。

 「ビジネスの契約が残ってい…

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