24年後に子どもが消える村 あえて大量採用、生き残り戦略の成否は

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上田学
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 地方で進む人口減少への危機感から、政府は「地方創生」を看板政策に掲げた。それから7年、東京一極集中の是正を目指し、多額の予算を費やしたが、地方から首都圏への流出はやまない。「日本社会の縮図」とも言える「先進地」で課題を考えた。

若者が流出、最寄りのスーパーは車で1時間

 紀伊半島の急峻(きゅうしゅん)な山々に囲まれた奈良県北山村は、面積の97%を山地が占める。村の学校は小中学校が一つだけ。路線バスは1日往復1本で、高校に進む子は、親元を離れて寮や下宿に入らざるを得ない。

 「わかっていたけど、寂しかった」。民宿経営の小谷雅美さん(46)は、昨年春に約100キロ離れた生駒市の高校へ長男を送り出した時を思い出した。

 村を離れた若者のほとんどは戻ってこない。村には役場くらいしか安定した働き口がないからだ。

 人口は現在約480人。基幹産業の林業が衰退し、平成の30年間で半減した。6年前の村の見立てよりも100人ほど下回った。

 中でも若い世代の減少が深刻だ。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、村の人口は2045年に122人まで減り、全国で唯一、19歳以下の人口がゼロになる見通しとなった。

 地域の衰退も進む。多様な生鮮食料品を扱う店は村に3軒しかなく、店主はみな高齢に。最寄りのスーパーは村外にあり、車で1時間以上かかる。コロナ禍で地域の行事もほぼなくなった。

 地域社会を維持するには若者を村に残すか、移住してもらう必要がある。そこで村は、6年前に閉鎖した温泉宿泊施設の再生を決めた。当てにしたのが、政府の「地方創生」だった。改修費約6億3千万円の多くを国の交付金でまかない、昨年6月に開業した。

 スタッフ11人は20~50…

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