「せんたくかあちゃん」は私の母  たくましい背中、あこがれだった

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聞き手・中井なつみ
写真・図版
「せんたくかあちゃん」(福音館書店)
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 どんなものでも「まかしときい!」と洗ってしまう「せんたくかあちゃん」、ガッツがあって行動的な「ばばばあちゃん」……。絵本作家のさとうわきこさんの生み出すキャラクターには、はつらつとした「たくましさ」があります。幼少期、体が丈夫ではなかった経験から、「元気なもの」にあこがれ、子どもたちに「明るく、楽しくいてほしい」との願いを込めたというさとうさん。執筆当時の思いを聞きました。

せんたくかあちゃん(福音館書店、1982年、累計76万部)

 洗濯が大好きな「かあちゃん」は、洗濯板とたらいを使って、家の中のものをどんどん洗っていきます。子どもやイヌ、ネコまで洗って、いよいよ洗うものがなくなったとき、空からかみなりさまが落ちてきました。かあちゃんは、そのかみなりさまもごしごし。すると、かみなりさまの目や鼻、口がなくなってしまい……。

 「せんたくかあちゃん」のモデルは、私の母なんです。

 私が10歳のとき、新聞記者だった父が結核で亡くなり、母は下宿生の世話などをしながら、姉と私を育ててくれました。戦後の時代とも重なり、きっと大変なことが多かったと思います。

写真・図版
さとうわきこ 東京生まれ。高校卒業後、映画会社やデザイン会社などで働いたのち、絵本作家に。長野県岡谷市に「小さな絵本美術館」を設立し、運営している。代表作に「ばばばあちゃん」シリーズ(福音館書店)、「とりかえっこ」(ポプラ社)など。自身が設立した「小さな絵本美術館」にあるばばばあちゃんの特大パネルと=長野県岡谷市

ブルーのワンピースも、前掛けも

 でも、母はとてもたくましい女性でした。お金がなかったり、食べるものに苦労したりしても、「なんとかしてやろう」というパワーが全身からあふれていて。体格は決して大きくないんだけれど、背中からその強さを感じさせるような人でした。幼心にも、「ぜったいにへこたれない人だ」と感じていました。

 私は高校を卒業したあと、デザイン会社などに就職し、その後はご縁があってイラストの仕事もしていました。「いつかは絵本の仕事ができたらいいな」と思っていたので、子ども時代の思い出を掘り起こすように物語を考えていました。

 そのとき、母のことが頭に浮かび、思いついたんです。あのブルーのワンピースも、前掛けも、母がよく身につけていたものを思いだして描きました。

 たくさんある家事のなかで…

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