番組で「脱ステロイド」紹介、「科学的根拠ない」と抗議 日テレ謝罪

神田明美 沼田千賀子
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 7日に放送された日本テレビ系の番組「ザ!世界仰天ニュース」の内容に対し、日本皮膚科学会などは14日、「科学的に明らかに根拠のない内容があった」として、日テレに対し抗議文を提出した。肌荒れ治療でステロイド外用薬を断った体験を取り上げた放送が、「患者への恐怖と不安をあおる」と訴えている。

 ステロイドは炎症を抑える働きなどを持ち、例えばアトピー性皮膚炎の治療では基本的な薬とされている。症状や部位などに応じて強さのランクがあり、医師の判断のもと、適切に使うことで効果が出る。

 日本皮膚科学会が同日、ホームページで公表した声明によると、抗議文は同学会など6団体と1患者会が連名で提出した(https://www.dermatol.or.jp/modules/publicnews/index.php?content_id=12別ウインドウで開きます)。

 声明によると、番組の中で、「ステロイドは本来体内で作られるが、ステロイド薬の使い過ぎにより体内でステロイドが作られなくなった」「再び体内で作られるようにするには、ステロイド薬を断つしかない」などの内容があったという。

 この放送内容について、四つの問題点を指摘。

 ①ステロイド外用薬の使用を、種類も使用法も区別すること無く否定し、治療中の患者に恐怖と不安をあおる内容だった。

 ②脱ステロイド「療法」という用語を用いることで、ステロイド外用薬を使わないことをひとつの治療法として、あたかも疾患が治るかのような期待を抱かせる内容だった。

 ③「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に沿って診療している医師と患者に不必要な不安と妨害を与えた。

 ④番組は多くの健康被害をもたらす可能性が高い、などとしている。

 また、過去にもステロイド外用薬に関する誤解や誤った報道があった、と指摘。「『脱ステロイド』と呼ばれる不適切な治療が横行した。マスメディアは、科学的根拠に裏打ちされた情報をもとに番組制作をすることが使命」と求めた。

 日本テレビは朝日新聞の取材に「抗議内容を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に努めてまいります」と回答。番組ホームページでは13日、「治療中の多くの患者の皆様とそのご家族、携わる医師の方にご心配及びご迷惑をおかけしたことをお詫(わ)び申し上げます」などと謝罪。患者が自らの判断で急に使うのをやめると、症状悪化などのリスクがあるとして、「(自己判断での中止は)絶対にやめてください」と注意も呼びかけた。(神田明美)

日本テレビが番組内で謝罪

 日本テレビは14日夜、同番組の最後で謝罪した。杉原凛アナウンサーが「ご心配及びご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます」と頭を下げた。

 謝罪内容は次の通り。

 「VTRでは、ステロイド薬の使用を中止したエピソードに触れており、日本テレビに今日、日本皮膚科学会をはじめとする六つの学会と一つの患者会から抗議がありました。診療ガイドラインを策定している日本皮膚科学会によりますと、ステロイドの外用薬は皮膚炎の炎症を十分に鎮静することができるなど、有効性と安全性が科学的に立証されている薬です。正しく使用すれば、全身性の重篤な副作用は起きないとされています。患者の方が自らの判断で急に薬の使用を中止すると症状が悪化し、特に顔面では目に対するリスクがありますので、絶対にやめてください。治療は医師の指導に従ってください。また、日本皮膚科学会などのホームページなども参考にしてください。今後、番組では再発防止に努めてまいります」(沼田千賀子)