「俺は今こそ」から一転、石破氏は目を潤ませた 派閥の惨状と思惑

有料会員記事自民党総裁選2021自民

山下龍一、石井潤一郎
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 自民党石破茂元幹事長が、総裁選への立候補を見送る方針を固めた。菅義偉首相が不出馬を決め、空席となった「次の首相」の座に5度目の挑戦をするかどうか、石破氏はこの間、揺れ続けた。石破氏は何をあきらめ、何をとりにいこうとしているのか。

 3日午後、国会内。記者団の前に立った石破氏は総裁選への対応を問われ、「全く新しい展開になった。何が日本のため、党のためにとるべき道か。同志と相談しながら結論を出したい」と総裁選への意欲を語った。菅義偉首相が立候補断念の意向を党役員会で伝えてから、約2時間後のことだった。

 石破氏には元々、今回の総裁選で菅首相に挑む考えはなかった。菅氏と岸田文雄政調会長と争った1年前の総裁選で3位に沈み、同じような顔ぶれで争っても勝機は薄い。政権運営に苦しむ首相が石破氏に接近する予兆もあり、政権内で首相を支え、存在感を発揮する道を探っていた。

 だが、首相の不出馬でそのシナリオは白紙になった。3日は民放各局の報道番組をハシゴし、「一番大事に考えるのは、うそやごまかしのない政治だ」などと訴えた。安倍晋三政権が引き起こした森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題にも触れ、「公文書は国民の財産。改ざんや破棄があっていいことだと思わない」と力を込めた。

 石破氏の主張の根幹にあるのが、2012年末に始まった安倍政権がもたらした「負の側面」からの脱却だった。官邸中枢への「忖度(そんたく)」が行政の公平性をどう揺るがしたのか。森友・加計学園や「桜を見る会」の問題について、たびたび再調査などに言及してきた。

 「ポスト菅」を問うた報道各社の世論調査では、河野太郎行政改革相とほぼ並んで20%台前半の人気を博していた。「俺はいまこそ立つべきだ」。周囲にはそんな意欲を隠さなかった。

 一方、石破氏と距離を置く勢…

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