護国神社例大祭、7県知事ら公務参列 「政教分離反する」の声も

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編集委員・豊秀一
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 戦争で亡くなった地元出身の軍人らをまつる護国神社が開く例大祭に、富山、石川、静岡、鳥取、島根、広島、山口の7県の知事ら県幹部が、過去5年間のうちに公務として参列していたことが市民団体の調べでわかった。7県は「社会的儀礼の一環」などと説明する一方、出席しない理由に「政教分離に反する」を挙げた県もある。

 憲法20条は「信教の自由」の保障とともに宗教団体が国から特権を受けることを禁じ、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と政教分離の原則を定める。軍国主義国家神道が密接に結び付き、戦争に突き進んだことへの反省が背景にある。

護国神社】 戊辰戦争の新政府軍の死者らを各藩などが弔った招魂社が起源。1939(昭和14)年に内務省令で護国神社に改称された。戦没者は靖国神社に合祀(ごうし)されると同時に、出身地の護国神社にも祀(まつ)られる。靖国神社と同じように、戦前は国家神道を支える施設としての機能を担った。

 今回、調査をしたのは日本基督教団の関係者らでつくる「靖国・天皇制問題情報センター」。

 今年5~7月、東京都をのぞく46道府県に、①過去5年間(2016~20年度)の護国神社の例大祭への知事・職員の公務出席の有無②出席依頼の有無と依頼元③祭事での振る舞い(玉串拝礼など)④公用車の使用など往復の交通手段――などを質問し、40道府県から回答があった。

 調査結果によると、例大祭に公務で出席したと答えた7県のうち、知事が出席したのは静岡、鳥取、山口の3県。4県は副知事(石川県)や厚生部長(富山県)ら幹部だった。いずれも地元の護国神社遺族会などから出席の依頼があったといい、神道の儀式である「玉串拝礼」などの祭事を行った。

 公用車を使ったと回答したのは富山、石川、静岡、鳥取、山口の5県。市民団体とは別に、朝日新聞が7県に玉串料の公費支出を確認したところ、すべて「支出していない」と答えた。最高裁は1997年、靖国神社などに公費で玉串料を払った愛媛県に対し、「県が特定の宗教団体を特別に支援している印象を一般の人に与える」などと指摘し、政教分離違反にあたるとの判決を出している。

 知事や職員らが出席した理由については、「国を思い、家族を案じつつ亡くなられた戦没者の慰霊及び遺族への慰藉(いしゃ)・激励のため出席している」(富山県)、「例大祭への出席は、戦没者に対する慰霊と、ご遺族のご労苦をお慰めするものであり、政教分離の原則に反しない社会通念上の儀礼の範囲内」(石川県)、「戦没者を追悼する、いわば、習俗的な行為としての社会的儀礼の範囲内で、地域の実状をしん酌しながら、必要に応じて行っている」(広島県)などと説明している。

 一方、33道府県は一度も例大祭に出席していないと回答した。理由は「宗教行事のため」(岡山県)、「政教分離に抵触する恐れがある」(熊本県)、「政教分離の原則に反する」(大分県)などとして、憲法上の懸念を示した県もあった。(編集委員・豊秀一

記事後段では、アンケートに対する各道府県の回答の詳細とともに、このアンケートを始める経緯などを紹介します。

護国神社への公務参拝に関す…

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