イスラム主義勢力タリバンがアフガニスタンの政権を崩壊させてから15日で1カ月となる。タリバン流のイスラム法の解釈をもとに、権力を独占し、人権に制約をかける統治体制の輪郭が見えてきた。恐怖支配を心配する人たちが職を離れたり、避難民化したりする事態が起きている。
「家の周りにタリバンがいる。銃を持ってる」。8月15日午後2時、自宅の妻から一報が入った。「私は地下室にこもる。あなたは政府庁舎から逃げて」
政府の水資源管理機構の局長ファイーズラフマン・アズィズィさん(31)は、事態をのみ込めず「政府の会議中なんだが」と答えた。間髪入れず、妻が叫んだ。「その政府が、今まさに崩壊しているの!」
テレビが速報を伝える。「ガニ大統領が国外逃亡した模様」。うそだろ……。卓上に飾っていたガニ大統領とのツーショット写真をパソコンや名刺とともにカバンに詰めた。タリバンが敵視する政府幹部である自分の痕跡を消す必要があった。
ネクタイを外してズボンに押…
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