奈良の世界遺産で野菜作り 興福寺の僧侶と近畿大の学生

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岡田匠
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 世界遺産興福寺奈良市)の池の泥を肥料に使って、僧侶と近畿大学の学生が奈良のブランド野菜「大和野菜」を育てている。シカのふんや落ち葉が積もった泥は栄養分がいっぱい。興福寺は毎日、新型コロナウイルスの終息祈願を続けており、収穫した野菜は薬師如来像にお供えした。

 約40平方メートルの畑は興福寺の本坊の庭の一角にある。「半白(はんじろ)きゅうり」やウリ科の「黄金まくわ」といった大和野菜のほか、トウモロコシやナス、トマトなど計13種類を栽培する。お供えのため、農薬は使わない。畑の周りには、南円堂(国重要文化財)の屋根に使われていた江戸時代の瓦を並べて境界を設けた。

 7月下旬、僧侶の南俊慶(しゅんけい)さん(34)や学生が野菜を収穫した。東金堂(とうこんどう)で新型コロナの終息を祈る読経が始まる前、薬師如来像に供えた。読経が始まると、学生も一緒に手を合わせた。野菜は法要後、おさがりとして、僧侶や学生たちでいただくことにしている。

 興福寺が毎日昼に新型コロナの終息祈願を始めたのは昨春だ。「日々の祈りにプラスアルファしたい」。南さんは自ら育てた野菜をお供えしたいと考え、野菜作りに取りかかった。

 文献や経典をひもとくと、室町時代から江戸初期に興福寺の僧侶が書いた「多聞院(たもんいん)日記」にはナスやイモ、豆などを境内で育てていたという記録が残る。「雑阿含経(ぞうあごんきょう)」という経典には、農業になぞらえ、心を耕すことの尊さを説いた釈迦の教えが書かれている。

 昨春、サツマイモやナスなど…

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