2年前の被害と降水量上回る 大雨1カ月

松岡大将 長沢幹城
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 記録的な大雨により佐賀県武雄市や大町町で大規模な浸水被害が発生してから14日で1カ月となった。13日午前9時時点の県のまとめでは、4人が軽傷を負い、17市町で床上、床下浸水など3569棟の住家被害が確認されている。農林水産関係の被害額は151億9千万円に上る。降り始めからの降水量や被害額は、2年前の大雨を上回ることが分かった。一方で、再び同じ被害を出さないための取り組みが進む。

 8月の水害では、六角川が氾濫したほか、各地で内水氾濫が発生。計17市町で住家の浸水が相次いだ。これを踏まえ、県庁で7日に内水対策プロジェクトチームが発足した。危機管理・報道局、農林水産部、県土整備部の職員で構成され、各部が連携してより包括的に対応するのが狙いだ。

 チームの役割は大きく二つある。一つ目は堤防の内側にある水「内水」の状況を県で一元的に把握すること。これまでは河川の状況をカメラの映像で把握していたが、市町やケーブルテレビ事業者などと協力し、市街地の様子を住民や消防、自衛隊との共有をめざす。

 二つ目は河川の底にたまった土砂を浚渫(しゅんせつ)して流量を増やしたり、ため池の事前放流で貯水量を高めたりして、氾濫を防ぐこと。中長期的には、水をためる調整池の新設や河川の整備も検討する。ほかには、今月予算化した排水ポンプ5台を、県内5カ所の土木事務所に配備して運用にあたる予定だ。

 チームの担当者によると、本来、災害関連の対策は市町が中心に進めることが多いという。だが、それぞれ人手が限られているため、県も積極的に関わって協力して対応にあたるために発足した。「二度と内水被害を起こさず、県民が安心できるようにしたい」と意気込む。(松岡大将)

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 今回の大雨が降り始めた8月11日から19日までの9日間に県内の観測所で確認した降水量が、いずれも2年前の大雨時を上回ったことが、佐賀地方気象台の調査でわかった。降雨日が4日長かったほか、大雨の降雨域も広域に及んでいた。

 気象台によると、8月11日~19日の降水量が最も多かったのは嬉野の1178・5ミリ。続いて鳥栖1031・0ミリ、佐賀市駅前中央1018・5ミリ、大町1017・0ミリ(一時、観測の欠落あり)、白石886・5ミリ、佐賀市北山882・5ミリ、伊万里825・5ミリ、佐賀空港743・5ミリ、唐津662・5ミリ。

 2019年の大雨では、8月26日~30日の5日間の降水量の最高値が唐津の533・0ミリで、他の観測所(当時計7カ所)ではいずれも500ミリを下回った。

 今回は、2年前からある8観測所すべてで当時の降水量を上回り、5観測所では2倍以上の降水量を記録。期間中の1日あたりの降水量は鳥栖、嬉野、唐津で観測史上最高となり、他の観測所も8月の降水量としては1、2位の記録的な大雨だった。

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 8月の記録的大雨による車両救援要請の件数を、日本自動車連盟(JAF)佐賀支部がまとめた。要請は2019年の大雨被害発生時の4分の1程度にとどまっており、「2年前を教訓に、あらかじめ車を退避させるなどの備えがあったのではないか」とみている。

 車両の冠水や水没による救援要請が目立って多かった期間で比較すると、今年は8月13日~16日の4日間で198件。19年は8月28日~9月1日の5日間で864件だった。自宅などに駐停車していて浸水・水没した車の救援要請が2年前より減り、冠水道路を走行したことによるトラブルが目立ったという。

 冠水や浸水被害の予防策や備えについてJAFは、「運転はできるだけ控え、地下道やアンダーパス、冠水した道路は避ける。ガラス割りハンマーなどの脱出ツールを運転席から手の届く場所に常備して」と呼びかけている。(長沢幹城)