双葉町に合祭殿完成 記念植樹で祝う

力丸祥子
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 東日本大震災の津波で流失したり、原発事故による帰還困難区域内で立ち入りが制限されたりして再建が進まない神社を、離れた場所から参拝できる「合祭殿」(双葉町)の完成を祝い、14日、境内でサクラなどの記念植樹が行われた。

 合祭殿は8月に完成した中野八幡神社と同じ社殿。双葉郡内などには50社近く再建できていない神社があり、合祭殿では、それらの神社ごとの儀式や祭りを執り行う。

 県神社庁双葉支部長の宇佐神正道さん(66)は「ふるさとの神社が手つかずのままになり、お祭りもできない状況で、氏子の心が離れてしまうことが心配だった。合祭殿はそれぞれの地区の人たちが集い、心の安らぎを感じられる場所になってほしい」と話した。

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 合祭殿の工事を担った住宅メーカーの親会社「創建」(大阪市)は、地震や原発事故からの復活を望みながら資金難に苦しむ神社を毎年1棟、無償で再建している。合祭殿の再建費は義援金などで賄われたが、創建は県内の他の神社の再建も進めている。

 「創建」の神社再建事業を支えているのは、グループ会社「木の城たいせつ」(北海道)。宮大工の高度な技術を機械化しており、今回の合祭殿の建設も担った。両社の会長を兼ねる吉村孝文さん(72)は「神社は人々のよりどころ。人々のつながりを取り戻すことこそが、本当の復興につながる」と考える。2018年に熊本地震で倒壊した熊本県の神社を再建して以降、宮城、福島両県で神社の支援を続ける。再建費は1棟およそ4千万円。福島県神社庁の丹治正博庁長(65)も「ありがたい」と話す。

 木の城たいせつは、リーマン・ショック時の08年に経営破綻(はたん)した。当時は創建グループではなかったが、吉村さんは「同社の技術は世の中に必要だ」と、創建自体の経営も苦しい中で事業を引き継いだ。

 14日、大阪からの記念植樹の参加をコロナ禍で見送った吉村さんは、「完成時の宮司さん、氏子さんたちの表情を見るのが楽しみだったので残念。再建した神社に地域の人たちがまた集い、にぎやかになれば最高」と話した。(力丸祥子)