コロナ禍で大変動 「前年比」にご用心 親子で学ぶデータの見方

有料会員記事

稲垣千駿
[PR]

 データを整理し、思考力や判断力、表現力を磨くことが教育現場で注目されています。その学びのヒントは日々のニュースで接する数字にもあります。5月の「平均」に続き、9月の4回にわたり「比較」についてQ&A形式で考えます。初回のテーマは、コロナ禍が生んだ「前年比の落とし穴」です。

 Q 図表1の折れ線グラフをみて。企業の4~6月のもうけ(純利益)は前の年より約150%も増えたみたい。コロナ禍の影響はもうだいぶ薄れ、企業の業績が好調になったのかな。

写真・図版
上場企業の純利益の伸び率

 A 東京証券取引所の1部上場約1500社分の集計値で、全体の傾向を表すデータだね。でも、見方には注意が必要だ。図表2の棒グラフを見て。伸び率の計算に使った純利益の金額を示している。21年4~6月は約11・8兆円、20年4~6月は4・6兆円で、伸び率は約150%増(2・5倍)。20年は近年にない大きな落ち込みで、21年を19年の10・2兆円と比べると約16%増にとどまる。

 Q 昨年4~6月は世界でコロナの感染が急拡大した時期だった。外出が制約され、世界中で工場が止まるなど、経済へ大打撃があったことを思い出したよ。

 A 前年比をみる際は、前年が極端な値でなかったかに気を配った方がよい。150%増という数字を見ると業績が絶好調という印象を受けるが、比較対象が異常に低かった。企業のもうけに限らず、百貨店の月間売上高など様々な経済統計で、今年は前年同月比や前年同期比のデータがわかりにくくなっている。統計によっては2年前比の値を発表資料に載せているよ。

 Q そもそもなぜデータを前年の値と比較するの?

 A 経済活動は月によって変…

この記事は有料会員記事です。残り1901文字有料会員になると続きをお読みいただけます。