医師の目で自宅療養者をケア 手が回らない保健所、有志がカバー

会員記事新型コロナウイルス

三嶋伸一
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 新型コロナウイルスに感染した自宅療養者の急変などにどう備えるか。千葉県市川市では、市医師会(会員約400人)の開業医らが、保健所の手が回らない自宅療養者の健康観察を担い、患者をケアする「自宅療養チーム」を結成した。

 「苦しくて死にそう」

 市川市の開業医、佐多謙さん(60)の携帯電話に8月中旬の夜、自宅療養中の市内の30代女性からメールが届いた。保健所の依頼で前日に初めて自宅で往診したばかりだった。

 往診時の女性の血中酸素飽和度は84%。保健所が確認した3日前は入院基準の93%以上あり、自宅療養となっていたが、急激に悪化していた。急いで酸素が吸える酸素濃縮装置を手配し、せきで話せない女性に「何かあったらメールを」と言い残した矢先だった。

 「救急車を要請したほうがいい」。佐多医師はすぐに返信した。しかし、一晩待っても女性は入院できなかった。当時、県内で自宅などの療養者は1万人を超え、市川市などは病床が逼迫(ひっぱく)。女性が入院できたのは6日後だった。その間、佐多医師は対応に追われた。

 自宅療養チームの結成は8月で、市医師会の会員有志十数人が参加した。保健所に代わり、自宅療養者のケアをする。佐多医師もその1人。いつもは一般患者を往診しているが、コロナ患者への対応は特別だ。

 患者宅前に止めた車内で防護服やフェースシールドを身につけ、感染リスクを抑えるため玄関先で診る。玄関は開けっ放しだ。万が一に備えて車に看護師が待機する。薬は薬剤師があとで玄関先に届けてくれる。

 往診で重要なのが医師の目で見た患者の容体だ。「話せても肩で息をしているか、肥満などの基礎疾患があるか、食事はきちんととれているかなどから緊急度が分かる」と佐多医師。血中酸素飽和度は安静時だけでなく動いた時も測る。「急激に下がると要注意」

 役立ったのが、スマホなどで医師仲間と診断内容を共有できる情報ソフト。「未知の感染症で分からないことだらけ。仲間の意見がありがたい」。複数の専門医も見てくれていて「この患者はこちらですぐ入院を」と連絡があることも。

 医師会によると、保健所から健康観察を依頼された患者は約60人。このほか、診療所で陽性を確認した多くの患者のケアをしてきた。佐多医師は8人担当し、3人が入院してあとは自宅で回復した。女性はその後無事退院できたという。「重症化は突然始まる。毎日の連絡が欠かせない」と佐多医師。医師会の大野京子副会長は「専門病院と違い、使える薬や医療機器が限られる。しかも一般患者を抱える開業医が感染すれば事態は深刻。厳しい戦いです」と話す。(三嶋伸一)

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