水谷八重子「新派のエッセンス感じて」 1年8カ月ぶり本公演

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編集委員・藤谷浩二
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 1年8カ月に及ぶ5匹の愛猫とのステイホーム生活で考え続けたのは芝居のことばかり。劇団新派の水谷八重子は、10月に東京・新橋演舞場で上演される「十月新派特別公演」を「こんなうれしいことはございません」と喜ぶ。

 芸歴66年のベテランにとっても初めての試練といえる長いブランクとなった。「コロナが終わったわけじゃないので安心はできませんが、ほんの瞬間、コロナを忘れていただけるような芝居をお見せできたら」

記事後半では、新派の芝居の魅力や偉大な先人だった女形・花柳章太郎との思い出、コロナ禍に負けず後輩たちに伝統をつないでいく決意について語ります。

突然舞台から離れて

 昨年2月27日、演舞場で上演中だった新派公演「八つ墓村」が8ステージを残して中止されることになった。安倍晋三前首相によるイベント自粛要請を受けて、コロナ禍の最初期に幕が閉じられた舞台のひとつだった。突然訪れた千秋楽、「終演後、お客様に『今日で終わりです』とあいさつしましたが、自分自身も狐(きつね)につままれたよう。でも、なんともいいようのない悔しさは今でも覚えています」。

 昨年4月には緊急事態宣言も出て新派公演のめどが立たなくなった。しばらくは「ただ寝てばかり」の日々が続いた。崩れ落ちそうな気持ちを前向きにするには「舞台に立ってお客様と会う機会を自分でつくるしかない」と、宣言解除後に手弁当で歌のライブをたびたび開いた。

 新派は昨年12月に朗読劇を…

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