いまヤクザ映画は当たるのか 東映「孤狼の血」プロデューサーに聞く

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土井恵里奈
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 映画は役者や監督だけが作るものではない。裏には仕掛け人がいる。良い作品を作っても、売れないと商売にならないのだから。公開中の映画「孤狼の血 LEVEL2」の紀伊宗之プロデューサーに聞いた。なぜ東映は、再びヤクザ映画を作ったのか。

孤狼の血 LEVEL2 原作は柚月裕子の同名小説シリーズ。前作は役所広司主演で、日本アカデミー賞12部門など30を超える映画賞を獲得した。オリジナル脚本となる今作は、狂騒の広島を舞台に、前作よりさらに激しいバイオレンスシーンが続く139分。刑事の日岡(松坂桃李)とヤクザの組長上林(鈴木亮平)の死闘、スパイ役の近田(村上虹郎)との絆を軸に、警察と裏社会の関係を描く。同じく東映の極妻シリーズでおなじみのかたせ梨乃は、今作でも極道の妻を演じた。

「ヒットしない」と売り込む

――続編となる「孤狼の血 LEVEL2」が公開中です。このシリーズを映画化した最初のきっかけは

 原作を読んで、これはもううちがやるしかないやろうと思い、企画書を出版社へ持っていきました。企画書に書いたのは、いかにこのごろヤクザ映画がヒットしないのかということ。でも当てるとしたら、やっぱり僕らしかない。うちは、それ(ヤクザ映画)で飯を食ってきた会社でもあるので。そういう逆説的なアプローチをしました。

――ヤクザ映画は当たらないんですか。かつて一世を風靡(ふうび)したのに、下火になったのはなぜでしょうか

 80年代に入ると衰退していきましたね。バブルへと突き進む中で、バンカラもダサいと言われ、恋愛することが青春のように変わっていった。時代が豊かになったということもあります。

 その中でヤクザ映画もドロップしていきました。Vシネマという形に変わり、2000年代に入ってもしばらくは生き残っていたけれど、やがてそれも見られなくなって。

 時代に取り残されたというのはもちろんあります。もう一つの理由は、安かろう悪かろう。映画としてのクオリティーを担保できなかった。要するにおもろい映画が作れなくなったということです。

トレンドはめぐる

 でも、トレンドはめぐるもの。円を描くようにぐるぐる回る。長らく作ってこなかったものを、もう一度東映が作ることに意味はあると思っています。プロデューサーとしてこだわったのは、作品のクオリティーを担保できるのかという点。監督を誰にするのか、ものすごく悩みました。そして、白石和彌しかおらへんなと。

――白石監督はどんな反応でしたか

 「(深作欣二みたいなものをやってと言われても)ちょっと困りますよ」と。今の若い人にとってみれば、ヤクザはファンタジー。僕は1970年生まれで、小学校の友達がヤクザになったような世代です。でも、今の人たちの身近にヤクザはいない。ドラマもない。一体どんな人たちなのか、わからない。監督はプレッシャーを感じていたと思います。「思いきってやったらいいやん。表現のリミットを外してどこまでいってもいい」と伝えました。

否定からのスタート

――ロケ地となった広島県呉市との交渉で、「うちはもうヤクザな街じゃない」と言われたそうですね

 映画作りにはいろんな人が関わりますが、関係者の反応は一様にネガティブでした。ヤクザがドンパチやっていた街だと思われるのが、嫌だと言うんです。

 一方で、ポジティブな人もい…

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